風になびく妖怪猫の穴あきパンツ。

猫の尻尾

第1話:炒猫耳朵(ちゃおまおあーるどぅお)

このお話は「風になびく妖怪の穴あきパンツ」の別バージョンです。

妖怪に詳しくない人でも読めます。



俺んちの長屋の洗濯物干し場に女の子のパンツが風になびいている。

そのパンツ、尻のあたりに直径4センチくらいの穴が空いている。

尻尾を通すための穴だ。

その穴は俺が開けて、ほつれ防止にかがり縫いを施してる。

本来なら、その子のパンツの穴は、その子の祖母がやるはずなんだけど祖母が

やると全部位置がずれるからその子に嫌がられる・・・だから俺がパンツに

穴を開けて縫ってるって訳。


なんでパンツに尻尾の穴かってことだけど・・・その他もろもろ含めて、

それをこれから話そう。


猫の妖怪の女の子の名前は「炒猫耳朵(ちゃおまおあーるどぅお)って言って、

彼女の祖母の猫ばあちゃんと一緒に引っ越してきた。


炒猫耳朵(ちゃおまおあーるどぅお)なんて呼べないから俺は彼女のことを

普通に「炒猫」チャオマオって呼んでいる。


俺は引っ越してきたチャオマオを見て一目で好きになった。

そりゃ相手は猫の妖怪だけど人間の女にない不思議な魅力がある・・・逆に

チャオマオが人間じゃないってところに俺は無性に惹かれた。


猫の妖怪だから頭に猫耳があってお尻に尻尾が生えてる。

その尻尾をパンツから出すために俺が彼女のパンツに穴を開けてるってわけ。


でも大阪にいる時は誰がチャオマオのパンツに穴を開けてたんだろう?


彼女のパンツに穴を開けてる俺の名前は「墓石 奇太郎はかいし きたろう

赤口仏滅高等学園せきぐちぶつめつこうとうがくえん」に通う高校二年生の17歳、人間の男子。


そしてチャオマオと猫ばあちゃんは、俺のひいじいちゃんが昔から営んでる

建築基準法なんか無視した古民家長屋に大阪から引っ越してきた。

ふたりが住んでる部屋は昔から問題物件になっていて誰も借り手がいなかったけど、

家賃が安いならその部屋でいいって、ふたりは居着いてしまった。


実はその部屋、夜な夜な幽霊が出るらしいんだけど幽霊もチャオマオのXメンの

ウルバリンみたいな・・・いやウルヴァリンじゃなくて、ウルヴァリンに立ちはだかる強敵レディ・デスストライクみたいな硬くて鋭い爪でひっかかれるのが怖くて

最近はめっきり出てこないらしい。

チャオマオの爪は普段は短いが、その気になると1メートル以上長くもなる。

で、アダマンタイトならぬニャオマンタイトってアダマンタイトよりさらに

硬い金属でできている。


で、俺んちの長屋は俺が物心つく前から次々妖怪ばかりやって来て住み着いてる。

今や世間から「妖怪長屋」なんて言われている。

そいつらは時々、チャオマオの部屋に遊びに来るから俺もそいつらと自然と仲が

良くなった。

妖怪だけど意外とみんな人間より人のいいやつばっか。


まずは「大泣きじじい」に「砂かけ熟女」「一旦ごめん」「つちかべ」「座敷あらし」「大雑把」ってやつもいる・・・こいつは河童の妖怪。

あと「食わず姉ちゃん」ってのもいて、この子はめっちゃ可愛い、激かわ・・・

俺の彼女にしたいって一時は思ったけど、頭の後ろにデカい口があることを知って

食われてもマズいと思って遠慮させてもらった。


あとは年増の雪姐御・・・夏は雪姐御の部屋に、お邪魔して一緒にいると涼しい

から重宝する。

本人は夏の暑さに溶けちゃう〜って言って、冷房効かせた部屋から出て来ない。

べっぴんなんだけど冬は一緒にいるとこっちが凍ってしまうからとても一緒には

いられない。

あとはタヌキの妖怪に狐の妖怪・・・異種間交流ってわけ。


他にもいろんな妖怪がいるけど、チャオマオんちにやってくるメンバーは大体そんなところか・・・。


とりあえず今の所、俺んちの長屋に住んでる妖怪たちは近所の人間とも大きな

トラブルもなく均衡を保って平和にやっている。


だけど人間の社会と同じで妖怪の一部にも悪事を企ててるヤツもいるみたいだ。

悪いヤツは妖怪でも人間でも同じ臭いのヤツ同士、ツルむ傾向にあるらしい。

だいたいの悪い妖怪はブラック企業や暴力団と仲良くやってるみたいだ。

日本での暗躍が厳しくても東南アジアって言う治安の悪い国にそう言うヤカラは

蔓延ってる。


正義感の強いチャオマオはそう言う悪いヤカラが許せない性格らしい。

大阪でも悪い妖怪や企業相手に暴れたてらしい・・・あまりにチャオマオが脅威だと

思った悪いヤツらは彼女を暗殺しようと企んだみたいだけど、チャオマオは不死身だからピストルで撃たれたくらいじゃ死なないらしい。


なんでもチャオマオの猫ばあちゃんが天界にいた時、西王母の飼い猫だったらしい。

だけど蟠桃園の中の桃を盗み食いしたことで猫の妖怪になって不老不死になった

らしい。

猫ばあちゃんは西王母の大事な蟠桃なんか食ってしまったからには、そのまま天界

にはいられないと思って下界に降りてきたと・・・。


つづく。


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