不死者の女王様〜魔物少女の歩む道〜

たんぽぽん

一章 外の世界を目指して…

第1話 初めての思考と邂逅そして…

ぽつん、ぽつん


暗い洞窟の中、天井から滴り落ちる水の音だけがこの空間に響いた。


そんな中私の意識が覚醒する。


「…くらい」


それが、私が生まれて始めて発した言葉だった。

ふとそんな言葉を零した私に驚いた。

これまでの私ならそんなことは思わなかっただろう。

今までとどこか違う自分を認識する。

ここではないどこかの知らない知識、今まではただこの洞窟を本能で彷徨うだけだった私についた感情という未知。


備わった知性を以て私は生まれて初めて思考する。

知識をもとに自分の現状を把握する。


把握しようとする…が、


「どう、くつ?」


今目に入るだけのわずかな情報からだけでは状況を上手く認識することはできなかった。


「くらい、しめっぽい…」


私はこの空間に不快感を抱いた。

そして知識から外の世界を知る。

私が不快感を抱いた暗く、湿っぽいといったこととは真逆の世界。

明るく、爽やかな世界。


「外に出たい」


この空間の不快感と外の世界とを天秤に賭けた結界、私の天秤はすぐに外の世界へと傾いた。

外の世界に抱く興味、それにより私は初めての思考の末、洞窟を出ることを決断する。


「どっちにいけばいいんだろ」


ただ、どこに出口があるのかはわからない。

洞窟は、私の前方に分かれ道、後方は行き止まりになっている。

よって、私は右か左のどちらかの分かれ道を行くことになる。


「…」


悩んだ末、私は右の道を行くことにした。

私の本能が、右が出口だと告げた。

根拠はないのだが、おそらく正しい。

洞窟を彷徨っていたときに確たる意識はなかったが、本能がこの洞窟の構造をおおよそ覚えていたからだ。

思考した末、いまは本能に従うのが良いと判断した。


進む。

本能に従い洞窟内を進む。

洞窟は暗く、水の音が響くだけの道がひたすらまっすぐ続いていた。


ガシャ、ガシャ


さらに進んだところ、前方で人骨がひとりでに歩いているのが目に入った。


「ほね?うごく…ほね?」


知識を確認する。


「すけるとん?」


動く骨に該当する知識を見つけた。

私は、意識を得て初めて遭遇した生命体に興味を抱いた。

なまじ、知識を得たからこそ思う。

この生命体をもっと詳しく知りたいと。

そんな私の想いに呼応するかのようにそれは発動した。 



個体名:ーー

種族:スケルトン

性別:ーー

異能:ーー

特性:ーー

魔術適性:闇

位階:一般下級

称号:ーー



「…」


私は驚いた。

今日何度目かの驚きだ。

頭の中におそらく相手の情報とおもわしきものが流れてきた。


知識を探る。


またもや私の知識の中に該当するものを見つけた。

私の知識にあるような細々とした数値があるものではなく、わりと大雑把なものではあるが。

どうやら私は相手のステータス情報が見れるらしい。


私は思考する。

その末に知識と照らし合わせ、一つの考えに思い当たる。

これは相手の情報だけでなく、私の情報も知ることができるのではないかと。

そして、私の内側に向けて念じる。

もっと、自分を知りたいと。



個体名:ーー

種族:譁ー遞ョ縺ョ遞ョ

性別:♀

異能:莠。髴翫?譚ッ

特性:魂読みの魔眼

魔術適性:水・風・闇

位階:一般中級

称号:異界の知識をもつ者



予想通りというべきか私の情報も知ることができた。

いくつか読めないところもあるがいくらか自身について知ることができた。

おそらく、私がステータスをみることができるのは【魂読みの魔眼】によるものだとわかった。

それから、いま私の脳内に渦巻く知識は別の世界由来のものであることもわかった。

なぜ私の中にそのような知識が入ってきのか気になるところではあるが、いずれ明らかになることを期待することにした。

考えてもおそらくわからない。

出口を探すのが先である。


そして私は、スケルトンを横切り出口を求めて進むのだった。



───────────────

あとがき


はじめまして、初めて小説を投稿させていただくたんぽぽんと申します。

この作品は私の処女作(これ以外に作品を書くかわからないが)になります。

だいたい1話あたり1000文字以上で書いていく予定です。

更新は不定期ですが見てくれると嬉しいです。

文章表現のアドバイスなどあればよろしくお願いします。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る