魔法のような異世界近未来へ・・・

K(Unknown)

最初にそして最終話(サイショにそしてサイシュウワ)

ある年号のある時期・・・

そのサービスは突如として始まった!

タイトルは「珠玉のZ空間」


そのタイトルに少年は心を躍らせた。

小学生の頃より新聞のチラシの裏に脳内妄想の小説を書いてクラスに回覧していた。

結果は上々。でももっともっとみんなに広めたい全国規模に!そんな野望があった。


そして時は流れて中学2年の夏に始まったのがこのサービス。

時は乱世(らんせい)12年8月。少年の人生が大きく変わる節目である。


この時代の和暦 乱世は子供も大人もケータイ端末を使用するのが日課。

画面は白黒液晶の最新型。着サウという着信音を自力で入力して設定したり、撮メとしてカメラ機能で壁紙を設定したりが流行だ。

その中でも人気は個人ショート小説。通常「個シ小」(コショー)

ケータイ端末はカタカナのみが入力の最新端末で

これまでクラスでもカタカナで140字などのショート小説を作り、それを保存!

その画面をクラスのみんなに見せるのがトレンドであった。


それが円山(エンザン)という企業が突如「珠玉のZ空間」というネット環境で

「個シ小」を共有できる夢のプラットフォームを作ったのだ!

小説1本をネットにアップロードはたった30分で可能。

この僅かな時間で日本中に自分の小説を公開できるのだ。


少年は感激した!月々の使用料が通信インフラのせいで1万円掛かるのだが

親を何とか説得して「誕生日なし」「クリスマスなし」「お年玉なし」それを向こう10年なしを契約で何とか取り次いだ。

但し!「両親が小説内容でつまらない」と感じたら即契約解除だ。


これを機に少年は毎月5本の小説を投稿する。月の最大投稿数が5本なので最大限の本数を投稿した!


・・・


時は流れた。

25年。この間に世界情勢は大きく動いた。ネット環境は過去のテキストメインから動画を中心なビジュアライズ化されたもに大きく変化した。

円山(エンザン)はこの3月に発表した「珠玉のZ空間」サービス終了の通知だ。


当時14歳だった少年は既に大人となりアラフォーな年齢となっていた。

小説ノベライズファクトリー SNF。その企業名を知らないものはいない。

小説を介しての産業・文化・政治経済・・・全てを動かした大企業だ。少年はそのCEOとなっていた。

現代は小説は過去の文化。

今のトレンドはVRをフル活用した空間ビジュアル小説「V空小」

SNFはそのサービスを提供開始して早3年。世界に浸透しきっていた。

スマホ端末と呼ばれる機器のキー操作で、空間にテキストブックが仮想イメージで生成される。そこに脳内シンパシーでテキストをビジュアライズで生成・筆耕。

つまり人間の思いだけで数千から数万の小説が瞬時に完成され、更にその小説にAIによる小説にあったビジュアライズな動画の自動生成と自動音源が組み込まれる。

もうケータイ手入力での小説作成の時代は終わったのだ。


CEOはビル屋上よりビル群の夜景を観つつこの25年を振り返った。

セカイは進化し過ぎた。

何でも想像で生成できる時代。便利だがローカルな部分が皆無な世界。

手元には「珠玉のZ空間」サービス終了の記事をプリントアウトしたものがある。


ノスタルジックな思いと何か不完全燃焼な想い。

そっと呟いた。

「カタカナだけのセカイ。」

「サイショにそしてサイシュウワを迎えたね。サヨウナラ・・・。」


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