俺が貰った能力「缶詰」て何だ!
川向こうのジェロ吉さん
第1話 思い出した!
ゴキーン、ズダーン!俺は親父に思い切り殴られて床に転んだ!
「貴様の様な能無しに、家は継がせん!直ぐに出て行け!」
「そんなお父さん……」
「お前など知らん、誰か門外に連れ出して2度と領内に入れるな!」
俺は脇を従者に抱えられて家の門の外に放り出される。
「ハイハイ坊ちゃん2度と此処には近づかないでくださいね!」
俺を嫌いな親父専属の従者達に、嫌味を言われて馬車に入れられる。
隣には執事長、対面には騎士隊長が座っている、逃げられない!
そして馬車に揺られて、領地門に着く。
此処ともついにお別れか10年ありがとう、もう此処の門は2度と潜る事は無いと思うと泣けてくる。
◇少し前の時◇
俺はお父さんの執務室にいた。
「よく来てくれました神父様、実は息子の10歳の成人の為の事ですが、来月の予定を今日お願い出来ますか?」
お父さんは神父さんに問いかける、何故か分からず頭の上には?マーク。
「来月の予定ですけど、先に見てしまって良いのですか?」
「ええ、我が跡を継ぐ子が、少しばかり先に能力を分かっても大した事では有りませんよ、領主の息子ですから! それにお祝いパーティーの準備が有りますので、分かっていると何かと都合が良くてね」
お父さんは神父さんに小袋を渡す。
「まあまあ少ないですけど……」
渡された神父さんはニヤリと笑う。
「ホホホ仕方ないですな、他言は無用ですよ」
汚い大人の関係が見えてしまった、ただ俺は無言で立っている。
「では坊ちゃん、この石に手を乗せてください」
良いのか此処で先に見てしまっても、順番が有るだろうに!
仕方なく、神父さんが出した水晶の玉の上に手を置く。
来月に教会でやる事を、此処でコソコソとしてしまって、来月又違う能力を貰ってしまったらどうするのだろう?
そして光と共に、水晶の玉に文字が浮かび上がるが、こちらからは見えない。
「領主様のご子息の特別スキルは『缶詰です』、これは今までに出た事が無い、大変珍しいスキル能力ですね!」
神父さんは水晶を覗き込み、書かれている文字を読み上げてくれる。
「フム珍しいスキル能力か! グレバドールよ心で願ってみよ、生活魔法と同じ様な感覚だ」
生活魔法と同じ感覚か? まあ魔法はどうにかできるからな。
生活魔法は国民がみんな出来る簡単な魔法、水ならコップ1杯から、火なら枝に着けるぐらいの能力はみんなある、後は財布代わりのアイテムBOXも出来る人はいる。
因みに俺もその魔法が出来るので3個の魔法を使える事となっている。
後は鑑定も何故か出来るので、合計四つの魔法が5歳の時に出来ていた。
「では、水魔法の感じで『缶詰』」
魔法を唱えたけど何も起こらなかった?
「可笑しいな、なら火を出す様に『缶詰』」
また出なかった?不味いぞ初めて焦り出す。
「ええと、もしかしてアイテムBOXに何か出て来てないか?自分を鑑定しても……可笑しい?」
目の前の2人、お父さんは少し怒っているぽい、神父さんはハラハラしている。
「ええともう一度!」
火や水と同じ感覚で魔法を唱えていたけれど、本当に何も起こらない。
「何で起こらないの、何か出て来てよ」
どんなに『缶詰』と唱えても何かが起こる事は無かった。
そして冒頭の追放劇となる。
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