第31話常備薬ポーション作成

 収集した薬草は1,000種以上に及んでいる。

なのでその中から風邪薬、痛み止め、解熱剤、便秘薬、下痢止め、胃腸薬、等を作っていった。


 忍のお母さんの春香にも意見を聞いておいた。中高年層の必要とする薬がどんなものかを知りたかったのだ。

するとあれもこれもと数多くのリクエストが寄せられた。


 そのどれもが高齢者の悩みを解決するものの効能を期待するものだった。

 先ずは加齢による、腰痛、膝痛、肩凝り、こむら返り(筋肉つり)等々。

 次に頻尿、夜間尿、尿漏れ、残尿感、大便漏れ等の下の悩みに関するもの。

 少し困難かも知れないが脳梗塞、脳出血などの脳卒中の後遺症で運動機能が失われた人の運動機能を取り戻せる薬が欲しいとのことだった。

 彼女の周辺にもそんな人が多くいるらしい。

 その他にも認知症予防薬と治療薬。


  切実な悩みを持っている人たちが沢山いるらしい。


 【脳内薬師レシピ】を探していたら先程の脳梗塞後遺症関連のレシピが見つかった。早速所有している薬草の中に必要な薬草が入っているか確認する。

有った!

 取り敢えず1本試作する。出来た。検索。効果絶大とあった。

【錬金薬師のスキル】にはレシピを保存すると、錬金術空間内に材料を揃えておくと材料が有る分だけ複製コピー出来るらしい。

 そこでガラス瓶の原料と瓶の蓋用のアルミニウム、瓶に貼る説明書用のシール等を集めてコピーしてみた。10万本出来た。

ガラス瓶の材料が不足だったのでそこでコピーが終了したのだった。


 隼人はニュージーランド探索者協会本部長にポーションと、ガラス瓶の見本を見せて「これを大量に作ってくれるメーカーを紹介してくれるよう頼んだ。

 1本100㏄の小瓶だ。隼人の作るポーションはその量で効果を発揮する。即効性にも優れていた。

実は協会長の身内にも脳梗塞の後遺症で半身不随になっている人がいるらしく、そのポーションの効能が真実なら絶対欲しいと思ったらしく。本人の意思を確認して飲ませたらしい。効果絶大でその人は元気に動き回れるようになったらしい。

その為、ポーション作成に全面的に協力して貰えることになった。


 アメリカで行われる全世界探索者協会の会議にも隼人の作ったポーションを持って行って早急に必要としている人たちに届けたいと張り切っている。


「このポーションが世に知れたら医薬品メーカーとか政治家の邪魔が入るかも知れない。奴らにとって医は仁術ではなく医は算術だろうから隼人氏の命さえ狙ってくるかもしれない、そんな人類の宝とも言うべき隼人氏とその能力は全世界の探索者協会が守らねばならないのだ!」


ニュージーランド探索者協会本部長のヘンリーさんは熱く語った。


 隼人は一時的にダンジョン農園に潜って日本に帰った。忍の母親の春香に出来たポーションを渡す為である。


 「隼人さんどうもありがとう。まさかこんなに早く出来て来るとは思わなかったわ。早速悩んでいる方々に試して頂くわね」

「副作用は無い筈だけど、必ずご本人の承諾を得てから飲ませて下さい」

「勿論よ。任せておいて」

「で、その世界会議に私も出席したいわ。それまでに沢山のデータをまとめておくわね。

そうそう紅葉がS級探索者になれそうなの。あの子の誕生日までには帰ってきてプレゼントをあげてね。お願いよ」

「はい。必ず!」


 隼人は隼人で脳梗塞後遺症用の治療ポーションに使用する薬草名を明記した作り方のレシピを作成して、英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、ロシア語に翻訳して資料として用意しておいた。(忍に手伝って貰ったことを言っておく)


やがて探索者協会世界会議の日がやって来た。


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