第26話 ジュエリー・ライノースレスとライオン
今度は一思いに殺してやろうと宝石犀に立ち向かう。
良く見ると犀の角が3本有った。額と鼻の中央と上唇のすぐ上だ。3本目の角は他の角よりも短い。武器としてはあまり役に立ちそうが無い。
犀は猛烈なスピードで隼人に向かって突進してくる。
物は試しに棒杭をその小さい角に投げつけてみた。
杭は見事にその角に当たった。するとどうだろう、宝石がボロボロと犀の身体からこぼれ落ちる。皮膚は穴ぼこにならないで綺麗な皮膚のまま元気に逃げ去って行ったではないか。身体が軽くなって喜んでいるようにも見える。3番目の角が宝石を呼び寄せて身体に食い込ませていたようだ。
犀の肉は食べてみたいとも思わないので、今後はこのやり方で進めようと思う。
問題はクエストの達成条件が犀の討伐の方だったら拙いがその時はその時だ。
10頭のジュエリー・ライノースレスから全ての宝石を採取するとクエスト達成だった。
第15階層に進むと今度は【ジュエリー・ライオン】の登場だ。
見事なたてがみの3本1組くらいに纏めてその先っぽに色とりどりの色んな種類の宝石をぶら下げている。重そうだ。動くたびにカチャカチャと音がする。
隼人は襲い掛かってくるライオンの、宝石が付いたたてがみを草刈鎌の【鎌鼬】で切り払う。そのまま切り離されたたてがみをストレージに収納していく。ストレージの中でたてがみと宝石が分離されていく。身軽になったライオンは嬉しそうに一目散に逃げて行った。
【ジュエリー・ライオン】20頭分宝石を収集してやっとクエスト完了となった。
集まった宝石はアメジスト、アレキサンドライト、オパール、キャッツアイ、ジルコン、トパーズ、ペリドットなどが有った。
ここまでダイヤモンドが出ていない。
恐らく宝石ダンジョンのラスボスが持っているのだろう。
第16階層に入った。
ここは岩山のステージだった。ここでは岩と岩との隙間に水晶が有った。探索者ギルドで、登録する時に手をかざして個人データを記録するあの大きな水晶玉を何個も作れそうなでかい塊が見つかった。
ここは、クリスタル鉱山なのだろうか?
兎に角集めていくしかないだろう。豹のような岩山で身軽に動ける猛獣タイプのモンスターに襲われる恐れが有るので危険察知のレベルを最大に上げて水晶を採掘していった。
そのうちに大きい洞窟に出会った。下からは巨大な岩に邪魔されて見えなかったのだ。洞窟の中は奥に行くたびに高さも横幅も広がっていく。やがて洞窟が途切れた。
青空の広がる草原に出た。見渡す限りの草原だ。山は見えない。
巨大なモンスターが現れる予感がする。
グオオオオオオー
腹の底に響く、本能的に恐怖を覚える咆哮が聞こえた。ドラゴンだ!。
前方の空に全身をキラキラ煌めかせたドラゴンが見える。翼をゆっくりとはためかせて飛んでくる。
翼さえも煌めいている。あの煌めきは宝石だろうか?近付くにつれて全身にびっしりと宝石をくっつけているのが判ってくる。
鑑定してみるとダイヤモンドなどの宝石の他に金や銀、プラチナなどの貴金属もくっついていた。
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