第21話 オークション

そうこうしているうちにオークションの日が来た。世界中の恐竜研究者及び研究所、病理学研究所、博物館の人達が集まっていた。

出品順は先ず魚竜類、モササウルスが大人気で、10億円から始まって50億円ちょっとで、落札された。そのほかの魚竜は雑魚扱いになってしまっていた。雑魚といっても15億円以上の値段はついていた。


草食恐竜のトリケラトプス、ステゴサウルスは2大アイドルで、どちらも100億円の値が付いた。


同じ草食恐竜でも巨大なブラキオサウルスは別格で200億円。これを落札した国はこの巨大な恐竜を展示する為の新たなる博物館を建設する予算をどうやって捻出するか頭を痛めていたそうだ。


そしていよいよ今回のオークションの主役、ティラノサウルスの登場だ。

因みに、【恐竜殺しの病原菌】は、人間はおろか、恐竜の仲間の爬虫類にも無害であることが解っていたので、すぐ傍まで近寄って観察することが可能だった。傷1つ無い完璧な状態のティラノサウルスで、超絶美味なドロップ品の肉のステーキが参加者に振る舞われたことで、落札価格がいくらになるか判らない状況だったが、1頭は既にアメリカが落札最高額で買うことが決まっていたので残り4頭は、カナダ、日本、中国、欧州連合が落札した。平均落札価格は250億円だった。欧州連合は順繰りに展示国を代えて各国を回るのだそうだ。それもマジックボックスのような容量の大きい収納空間を現実で使えるようになったのが可能にした。それが無かったら10トン近い巨体を無傷で安全にしかも早急に輸送出来なかったであろう。ブラキオサウルスの体重25トン全長26m高さ18mの巨体を運ぶとしたら大変なものだったであろう。



で、隼人の収入は3000億円を超えていた。その分税金も約70%を超えてしまって、手取り分は約900億円になっていた。


そのニュースは忽ち世界中を駆け巡り、日本でテレビを見ていた増田由香は発狂して、打ちひしがれた。

逃がした魚は大きいというが、由香にとっては自分で逃がした魚(上坂隼人)はシロナガスクジラ以上の大きさだったのだ。

何とかよりを戻したいと思っても、隼人はもう既に手の届かない雲の上の存在になってしまっていた。


「隼人お義兄にい様、やっぱり凄い!私がやっとS級になったと思ったら、お義兄様はもうSSS級になろうとしている。

これじゃあいつまで経っても追い付けないじゃない!」

紅葉は自分の非力を嘆く。

それでも紅葉は諦めない。

(ゆっくりでもすこしずつ昇級していって、いつかは隼人様の横に居ても恥ずかしくない女になるんだ!(目標は20歳の誕生日までにSS級になることよ!)



そんな紅葉の決意に応えるように日本にもSSランクのダンジョンが発生した。場所は隼人の故郷の石浜県花森市。

S級になったらSSクラスダンジョンに挑戦出来るのよね。そこを完全制覇して、自分がSS級探索者になる夢、絶対にその夢を叶えよう。

紅葉の決意はメラメラと燃え上がるのであった。



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