101回目のシシュパーラ

【積年の恨みを晴らす時】

さて、次に倒すべき相手はシシュパーラである。


このシシュパーラ。

しつこいったらありゃしない。



花嫁を奪われた恨みは相当なもので、クリシュナをずっと攻撃し続けていた。


その攻撃とは、直接の武力攻撃だけではなく、抗議活動なども含まれている。



それらの攻撃に対し、クリシュナは彼の命を大目に見て来た。


殺さず許し、見逃して来た。



それはシシュパーラの母親と約束をしていたからに過ぎないのだが、当の本人はその事を知らなかった。


知らずにクリシュナを攻撃し続けて来た。


そして今日もまた、シシュパーラはクリシュナを攻撃する。



正義と徳と高潔の神ダルマ。


その息子であるユディシュティラが大犠牲祭を催し、クリシュナは最も名誉ある賓客として招かれていた。


その席で、シシュパーラは攻撃した。



「クリシュナの扱いに抗議する!」



前に進み出た彼が声を上げた。



「また攻撃するんですね……。」



毎度の事だと、ため息をついて呟くクリシュナ。



「クリシュナは下層階級の出身者だろう!?恋をもてあそぶ男でもある!」



更に、盗人であり、インドラの敵だと述べている。



「シシュパーラ……。毎度毎度ムカつく事ばかり言って……。」



ふと考える。

これで何回目だろう。



「兄さん、これって何回目の攻撃か分かりますか?」



尋ねられたバララーマが手帳を取り出した。



「……越えたな。」



手帳を閉じ、ニッと笑う。



「なるほど。積年の恨みを晴らす時が来ましたね。」



こちらもニヤリと黒い笑み。


シシュパーラは喋り続けている。

その彼が喋り終え、満足したのを見届けたクリシュナが立ち上がる。



「シシュパーラ~。」



にっこり微笑み猫なで声。



「な、何だ!」



気持ち悪そうに返事をする。



「今日は見逃しませんから。」



「は?」



何の話か分からずにいるシシュパーラに、クリシュナはチャクラを投げる。



シシュパーラ目掛けて飛んで行く魔法の輪の武器スダルサナ。


それは情け容赦なく彼を即死させた。



101回目の攻撃により、シシュパーラは母親の保護を失ったのだ。



しばらくして、彼の二人の弟も殺される。


クリシュナの悪魔退治者としての使命は、こうして着々と成し遂げられて行くのであった。

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