手紙に望みを託して

【因縁の敵】

クリシュナに恋い焦がれるルクミニー。

寝ても覚めても想うのはクリシュナの事。


面白くないのは兄のルクマ。

邪心を抱くルクマは、クリシュナを嫌っていた。

妹を、自分に利益のある相手に嫁がせようと画策する。



「ルクミニー、お前の嫁ぎ先が決まったぞ。」



「え?嫁ぎ先って……?」



突然の話にきょとんとするルクミニー。



「チェディー国のシシュパーラがお前の夫となる男だ。」



夫という言葉を聞いて状況を理解した。



「いやっ!私はクリシュナ様と結婚するの!そんな人と結婚したくない!」



「お前に拒否権は無い。これは決定事項だからな。」



冷たく言い放った兄は、ショックで崩れ落ちたルクミニーを残し、立ち去った。

残されたルクミニーは茫然とする。



「シシュパーラ……聞いた事もない名前……。イヤ……イヤよ……結婚なんてイヤ……」



このシシュパーラという男。

実は悪魔であり、過去の時代で2回程ヴィシュヌと戦っている。


ヌリシンハに八つ裂きにされたヒラニャカシプ。

そして、ラーマチャンドラに倒されたラーヴァナだ。


その正体は知らずとも、彼女が想いを寄せるのはクリシュナだけ。

シシュパーラなどと結婚する訳にはいかない。



「クリシュナ様に想いが届きますように……」



ルクミニーはクリシュナに手紙を送る。


この状況から救って欲しいと願いを込めて――。

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