淡々と描かれる繊細な心情

佐藤宇佳子さんのレビューを読んで、興味を持ちました。女性です。普段はBLに興味はなく、私小説も読みません。心情や気持ちよりは、台詞と行動重視のミステリやホラー小説を書きます。つまり、全く畑違いなんですが、ただ、萩尾望都のトーマやポーの一族で育った世代です。現実のゲイの男の子は、女子とはかなり違ってるのだろうなと、そのくらいの感覚で読み始めました。
文章、上手ですね。
淡々とした中に、懸命な男の子の気持ちが伝わってきて、理久君、応援したくなりました。まるで自分とは違う主人公に感情移入させられる、というのは、かなり腕のある作家さんです。思い出話の途中で、時折、現在の理久君が登場して解説してくれるので、背景がわかったり、ちょっと一息つけたりする構成も上手です。良い小説だと思います。

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