第2話 喋る埴輪
埴輪の顔は普通、目と口は単純に穴を開けてあるだけだが、この埴輪は目の部分に
口の部分にも防塵マスクのような物が付いている。
「…遮光器土偶ともデザインが違うな」
頭には兜、身体にも鎧っぽい物が付いているが今まで見たことのないデザインだ。
「西条君、ちょっと来てくれ!」
松井博士に呼ばれ、埴輪を持ったまま古墳に戻った。
「どうしました?」
「…これは封印かな?」
松井博士が首を傾げる。
石を積み上げた石室の入り口と思われる扉石に御札のような物が貼られていた。
「…御札?…ですかね?」
「こんなのは初めて見たよ
これは興味深いねぇ」
松井博士は写真で記録しながら御札を剥がし、石室の扉石をずらした。
プシューーー!
「なんだ!?」
扉の隙間から黒いガスと幾つかの影が噴き出した。
「みんな離れるんだ!」
松井博士の指示でみんな一旦石室から離れた。
「みんな大丈夫ですか?
あの影みたいなものはなんですか?」
松井博士に聞いてみたが…。
「影?…たぶん中にお供えした物が腐ったんだろう」
「いえ、ガスじゃなくて影のようなものが飛んでたじゃないですか?」
松井博士だけじゃなく、他の調査員もガスの事しか言わなかった。
「…お前にはあの影が見えたのか?」
「えっ?はい、見えまし…た?」
僕は周り見回したが、松井博士も調査員も石室に入っていて誰もいなかった。
『あまり時間がないから単刀直入に言う…
あれはこの世に
その言葉は手に持っていた埴輪から発せられていた。
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