生きる意味とは……木蘭の涙が教えてくれたこと

長櫓愛希

生きる意味とは……木蘭の涙が教えてくれたこと

 




どうしても泣きたい夜、あなたには聴きたくなる曲はあるだろうか。傷付いた心に、そっと寄り添ってくれるような優しい曲が…。




悲しくなったり、悔しくてたまらなくなったり、時に漠然とした不安感に襲われた時、私には必ずと言っていいほどに聴きたくなる楽曲がある。 




ある静かな夜、テレビから「木蘭の涙」が流れてきた。スターダスト☆レビューの、あの 切なくも温かいメロディーと歌詞、そして、ボーカルの根本要さんの歌唱が心の奥に染み渡る。




愛する人を失った悲しみ、もう会えない寂しさ、それでも前を向こうとする思い……この曲には、そんな感情が詰まっている。




私はこれまでに、家族や大切な知人を失った経験がある。そのたびに、胸にぽっかりと大きな穴が開いたような気がしていた。到底、埋めることができないような、深くて真っ暗な奈落のようだ。




いなくなったということ自体が信じられず、ふとした瞬間に「あの人だったら、こんな時にはどうするだろう?」と、いつも通りに考えてしまう。そしてその直後に、「…あぁ、もういないんだっけ」と呆然とすることを繰り返していた。




もう二度と声を聞けない、一緒に笑い合えないという現実を、私も暫くの間はどうしても受け入れられずにいた。




人は本当に大きなショックを受けた時には、素直に泣けない、涙も出ないと言われている。




けれども、涙さえ流すことができない自分に、こんなにも自分は薄情な人間だったんだな…と愕然としたこともあった。






そんなとき、この「木蘭の涙」がそっと私の心に寄り添ってくれた。





——「逢いたくて 逢いたくて この胸のささやきが あなたを探している、あなたを呼んでいる」





まさに、私の心情そのものだった。


その時、初めて涙がこぼれ、止まらなくなったことを覚えている。その涙のあとに、少しだけ気持ちが軽くなった気がしたのだ。






ーー 人はなぜ生きるのか。






私はその答えを、恥ずかしながら未だに見つけられていない。




ただ、大切な人を失っても、その人が私の心の中で永遠に生き続けていることだけは確かだ。




そして、私が生きることには、きっと何かしらの意味があるのだと思う。あの人が見守ってくれているなら、私は精一杯生きなければならないのだと。






「木蘭の涙」は、ただの別れの歌ではない。


大切な人、愛する人への想いや悲しみを胸に抱きながら、それでも前を向いて生きていく決意を与えてくれる歌だ。




この歌が流れるたびに、私はそっと目を閉じ、亡くなった人たちに想いを馳せる。そして、また一歩、前に進もうとする。




もしかしたらそれが、私が生きる意味なのかもしれない…と思いながら。




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生きる意味とは……木蘭の涙が教えてくれたこと 長櫓愛希 @carameldrops

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