第27話:風断者
「リヴァルドさん。俺に剣を向けるってことは、覚悟できてるってことだよね」
俺は突進してきたリヴァルドに剣を向ける。もちろん普通の剣じゃない。俺が使うのは日本刀だ。
昔おじいちゃんが狩猟をするために持ったから、俺にも使い方を教えてくれてた。
だから、おじいちゃんみたいには扱えないけど、なんとなくどう使うかとかはわかる。
リヴァルドの剣と俺の刀が交わる。俺は風魔法を使って後退する。
「どうした? 怖気づいてるのか?」
俺はその言葉を聞き逃さなかった。
風魔法を使って、リヴァルドへ近づく。
「左袈裟斬り!!」
俺は、リヴァルドの肩から脇腹に向かって、斜めに斬り下ろした。
日本刀はリヴァルドにあたったが、まだ浅い。
「一文字斬り!!」
俺は、左から右へ刀で水平に斬る。
……ん? 結界?
俺が一文字斬りをしようとしたが、結界が張られていた。
そしてリヴァルドは足から崩れ落ちる。
「……くそ! 今回はノーカンだ! 俺の体調が悪かった。だからそんなんで勝ったつもりになるなよ!」
俺はクリルスの方を見る。
クリルスは親指を立てて、にこやかな表情をしていた。
*
クリルスが観覧席から飛び降りてきた。
「結構危なかったね」
「だな、クリルスが結界を張ってなかったら、リヴァルドとか言うやつ死んでたよ」
「……そんな軽く言うけどね、実際あなたがあいつを殺したら、危険者扱いされちゃうんだよ!」
「……ごめん」
「よろしい〜!」
「即答!?」
そして俺たちはコロシアムから出た。まず、学院内にコロシアムがあるということに驚いた。
コロシアムをつかって何かするのだろうか……行事とかか?
「ねえ、結果発表は明日だってー! だから…………明日まで夜ふかししない?」
「夜ふかしして何をするのさ?」
「…………察してよ」
「え? 何を?」
「…………もういい!」
え、え、え〜!? 何に気づけばよかったんだ? え、まじで何を?
夜ふかし……イベント……?
俺にはわからないよ。クリルス〜
俺は独りトボトボと歩き出すのだった。
*
翌日、アンに叩き起こされた。
「蓮! 今日は結果発表の日だよ! 起きないと遅刻しちゃうよ」
「ん〜、なんだよ人の睡眠を邪魔しやがって――あ! やべ、早く支度しないと」
俺はリュックサックにお金――「あ、この通貨だめなやつだ」
「我が作っておいた金貨になんてことを言うのじゃ!」
「あ〜もう、――お金は大丈夫。友達? みたいな奴が貸してくれると思うから」
「ともだち?」
アンが目をギラギラさせながら俺を睨んでくる。
なんだよ。なに? また俺悪い事した? もういいよ、わかないから・
俺は急いで外へでた。リュックの中身は魔導書が詰め込んである。
「よし! 出発だ!」
しかし、俺は物陰に隠れている存在に気づかず学院に向かうのであった。
*
「リリシヤ、蓮の友達って誰のことかわかる?」
「我にもわからない。しかし、気になるな」
「じゃあ、私蓮についていく!」
「我は魔法の研究をしたいから、一緒にはいけん。アンだけで尾行してもらっていいか?」
「うん! わかった」
私は外へ出た。
「蓮はどこに……いた! もうあんなに、というか浮いてない?」
私は蓮を追いかけるために走る。でも蓮との距離は離れていく。
……でも、やるしかない! 蓮にバレないようにしないといけないから!
というと実は私、風魔法の練習をしていたの!
一昨日からかな、リリシヤに才能があると言われて、夜な夜なこっそり練習いた。
風魔法なので無音です。だから誰にもバレずに風魔法をいくつも連発できた。
風魔法を使っていると、自分が風になったかのように素早く移動できそうな感じがしたの。
実際に私は風魔法を身に纏ってみた。
身に纏うと、とてつもなく速い速度で移動できて、空気の抵抗がなくて、風魔法だけで移動してる感覚。
私はその感覚をつかんだ。
だから、今実践してみたい! 蓮を速さで超えられるかもしれない!
「……アン! 行っきまぁーす!!」
私は詠唱して風魔法を体に纏う。纏うと信じられないくらい体が軽くなった!
でも時間制限があるから早めにいかないと!
私はほんの軽い気持ちで走ってみた。
え? 速い、速すぎるよ!
自分以外がほぼ動いていないような世界。なにこれ? なんなの〜これ〜!?!?
私は蓮へと歩き出す。歩いていても世界はピクリとも動かない。
「そんなに速いの? 私」
私と蓮の距離はどんどん縮まる。
「……蓮さえも、遅くできちゃうの、すごくない!? すごいよね!」
またまた蓮との距離が縮まる。
私は蓮に手が届くところまでやって来た。
「蓮……私はあなたに速度で勝ったよ。これで、少しは認めてね!」
私は蓮の肩を押した。
そうだ。私はバレないように尾行することが目的だった!
……先の裏路地に隠れよう。
「ここで待ってたら追いつかれもしないし、学校近くだから大丈夫でしょ」
「
世界の動きが速くなった。というより、動いたが正解かな?
「あれ? 今肩を押されたような…………誰もいないよな……? それか俺でも気付かない強敵が……」
私はクスクス笑う。だって面白いじゃない! 私を強敵とかって!
……でも蓮の友達って誰だろう。そこだけ本当に気になる! もしや女子だったり……いやぁないない! ないと思う。うん、ないと思う……
ん? 蓮がカフェに入った。私もお金はバッチリ持ってきたし、大丈夫!
私は蓮が入った少し後に入店した。
蓮は二人用の向かい合っている席に座った。
ん? なんで2人用の席に……友達をここで待ち合わせてるってこと!?
*
しばらくたった。10分くらいかな。まだこないんだけど……もしかして友達とか言ってボッチな奴?
あーあるある。蓮ならありそうだよ、うん、ありそう。
でも、そこで入店してきた。来た……の?
そこには本当に美しく可愛い白髪の女の子がいた。
「か、かわいい!」
え、あの人が蓮の友達っていうことはないよね?
…………あ、蓮の席に座った。蓮、あんな美人さんどこで見つけたの?
白髪の女の子ちゃんは、蓮とすごく楽しそうにお話しし出した。あんなの絶対すきじゃん! もぅー!!
蓮! お願いだよ。絶対に引っかからないでね! お願いだよ……あ……………………!!
白髪の女の子ちゃん、立って蓮に近づいて、ボディータッチしはじめた!?
あの大きなタワワが蓮に〜!!
くそっ、私もあんなにあったらいいのに! これが生まれた時の差……
ん? でも蓮はなんにも反応してない。
……もしや蓮は貧が好きだったり!!
アンはリリシヤにそういうの教わりました。
……………………
「ねえ、なにしてるんだい? バレてないとでも?」
私は恐る恐る横を見た。
蓮だ!!!!
こんな俺が異世界で帝国造り!?~平凡な俺が、チート能力で無双する~ @Hulanes
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