第27話:風断者

「リヴァルドさん。俺に剣を向けるってことは、覚悟できてるってことだよね」

俺は突進してきたリヴァルドに剣を向ける。もちろん普通の剣じゃない。俺が使うのは日本刀だ。


昔おじいちゃんが狩猟をするために持ったから、俺にも使い方を教えてくれてた。

だから、おじいちゃんみたいには扱えないけど、なんとなくどう使うかとかはわかる。


リヴァルドの剣と俺の刀が交わる。俺は風魔法を使って後退する。

「どうした? 怖気づいてるのか?」


俺はその言葉を聞き逃さなかった。

風魔法を使って、リヴァルドへ近づく。


「左袈裟斬り!!」

俺は、リヴァルドの肩から脇腹に向かって、斜めに斬り下ろした。

日本刀はリヴァルドにあたったが、まだ浅い。


「一文字斬り!!」

俺は、左から右へ刀で水平に斬る。

……ん? 結界?


俺が一文字斬りをしようとしたが、結界が張られていた。


そしてリヴァルドは足から崩れ落ちる。

「……くそ! 今回はノーカンだ! 俺の体調が悪かった。だからそんなんで勝ったつもりになるなよ!」

俺はクリルスの方を見る。

クリルスは親指を立てて、にこやかな表情をしていた。




クリルスが観覧席から飛び降りてきた。

 「結構危なかったね」


「だな、クリルスが結界を張ってなかったら、リヴァルドとか言うやつ死んでたよ」

「……そんな軽く言うけどね、実際あなたがあいつを殺したら、危険者扱いされちゃうんだよ!」


「……ごめん」

「よろしい〜!」

「即答!?」


そして俺たちはコロシアムから出た。まず、学院内にコロシアムがあるということに驚いた。

コロシアムをつかって何かするのだろうか……行事とかか?


「ねえ、結果発表は明日だってー! だから…………明日まで夜ふかししない?」

「夜ふかしして何をするのさ?」

「…………察してよ」


「え? 何を?」

「…………もういい!」


え、え、え〜!? 何に気づけばよかったんだ? え、まじで何を?

夜ふかし……イベント……? 

俺にはわからないよ。クリルス〜


俺は独りトボトボと歩き出すのだった。





 翌日、アンに叩き起こされた。

「蓮! 今日は結果発表の日だよ! 起きないと遅刻しちゃうよ」


「ん〜、なんだよ人の睡眠を邪魔しやがって――あ! やべ、早く支度しないと」


俺はリュックサックにお金――「あ、この通貨だめなやつだ」


「我が作っておいた金貨になんてことを言うのじゃ!」


「あ〜もう、――お金は大丈夫。友達? みたいな奴が貸してくれると思うから」

「ともだち?」


アンが目をギラギラさせながら俺を睨んでくる。


なんだよ。なに? また俺悪い事した? もういいよ、わかないから・


俺は急いで外へでた。リュックの中身は魔導書が詰め込んである。

「よし! 出発だ!」

しかし、俺は物陰に隠れている存在に気づかず学院に向かうのであった。





 「リリシヤ、蓮の友達って誰のことかわかる?」

「我にもわからない。しかし、気になるな」


「じゃあ、私蓮についていく!」

「我は魔法の研究をしたいから、一緒にはいけん。アンだけで尾行してもらっていいか?」

「うん! わかった」


私は外へ出た。

「蓮はどこに……いた! もうあんなに、というか浮いてない?」


私は蓮を追いかけるために走る。でも蓮との距離は離れていく。


……でも、やるしかない! 蓮にバレないようにしないといけないから!

というと実は私、風魔法の練習をしていたの! 


一昨日からかな、リリシヤに才能があると言われて、夜な夜なこっそり練習いた。

風魔法なので無音です。だから誰にもバレずに風魔法をいくつも連発できた。


風魔法を使っていると、自分が風になったかのように素早く移動できそうな感じがしたの。

実際に私は風魔法を身に纏ってみた。


身に纏うと、とてつもなく速い速度で移動できて、空気の抵抗がなくて、風魔法だけで移動してる感覚。

私はその感覚をつかんだ。


だから、今実践してみたい! 蓮を速さで超えられるかもしれない!


「……アン! 行っきまぁーす!!」


私は詠唱して風魔法を体に纏う。纏うと信じられないくらい体が軽くなった!

でも時間制限があるから早めにいかないと!


私はほんの軽い気持ちで走ってみた。


え? 速い、速すぎるよ!


自分以外がほぼ動いていないような世界。なにこれ? なんなの〜これ〜!?!?


私は蓮へと歩き出す。歩いていても世界はピクリとも動かない。

「そんなに速いの? 私」


私と蓮の距離はどんどん縮まる。

「……蓮さえも、遅くできちゃうの、すごくない!? すごいよね!」

またまた蓮との距離が縮まる。


私は蓮に手が届くところまでやって来た。


「蓮……私はあなたに速度で勝ったよ。これで、少しは認めてね!」

私は蓮の肩を押した。


そうだ。私はバレないように尾行することが目的だった!

……先の裏路地に隠れよう。


「ここで待ってたら追いつかれもしないし、学校近くだから大丈夫でしょ」

Timeタイムtoトゥーrecoveryリカバリー


世界の動きが速くなった。というより、動いたが正解かな?


「あれ? 今肩を押されたような…………誰もいないよな……? それか俺でも気付かない強敵が……」

私はクスクス笑う。だって面白いじゃない! 私を強敵とかって!


……でも蓮の友達って誰だろう。そこだけ本当に気になる! もしや女子だったり……いやぁないない! ないと思う。うん、ないと思う……


ん? 蓮がカフェに入った。私もお金はバッチリ持ってきたし、大丈夫!

私は蓮が入った少し後に入店した。


蓮は二人用の向かい合っている席に座った。

ん? なんで2人用の席に……友達をここで待ち合わせてるってこと!?




 

 しばらくたった。10分くらいかな。まだこないんだけど……もしかして友達とか言ってボッチな奴?

あーあるある。蓮ならありそうだよ、うん、ありそう。

でも、そこで入店してきた。来た……の?

そこには本当に美しく可愛い白髪の女の子がいた。

「か、かわいい!」

え、あの人が蓮の友達っていうことはないよね?


…………あ、蓮の席に座った。蓮、あんな美人さんどこで見つけたの?


白髪の女の子ちゃんは、蓮とすごく楽しそうにお話しし出した。あんなの絶対すきじゃん! もぅー!!


蓮! お願いだよ。絶対に引っかからないでね! お願いだよ……あ……………………!!


白髪の女の子ちゃん、立って蓮に近づいて、ボディータッチしはじめた!?

あの大きなタワワが蓮に〜!!


くそっ、私もあんなにあったらいいのに! これが生まれた時の差……

ん? でも蓮はなんにも反応してない。

……もしや蓮は貧が好きだったり!!


アンはリリシヤにそういうの教わりました。


……………………

「ねえ、なにしてるんだい? バレてないとでも?」

私は恐る恐る横を見た。

蓮だ!!!!

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こんな俺が異世界で帝国造り!?~平凡な俺が、チート能力で無双する~ @Hulanes

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