第22話:過去への漂流、変わり果てたスペード街
「ここは…………?」手紙?
俺の横には手紙があった。
「『蓮さんへ。私はあなたを逃すことに決めました。ラウスを殺した者としてあなたにつく反対派は多いです。なので、少し粗雑ですが、蓮さんを現界へ帰すことに決めました。もちろんルルのちからも借りて、あなたを送り届けましたよ。決して不正なことはしてませんからね! クリルスより』
……クリルスと俺は敵同士だ。ましてや彼らの王を殺してしまった。ラウスを慕っていた者は俺を絶対に許さないだろう……いや、しょうがない。俺はその罪を認めて、彼らの敵として前に現れなければいけない。彼らに俺を殺す権利を与えるために……」
ってそれより、早く帰らないとアンとリリシヤに叱られる!!
門は俺が借りている部屋にある。だからレティシアさんの家に帰らなければ……
ズギギと腕が痛む。ラウスの光線を浴びて右腕が損傷したからか……
とは言え、ここはどこなんだと不思議に思い、俺は男の人に聞く。
「すみません。ここはどこですか?」
「……なんだい君、スペード街にはじめてきたのか?」
俺はスペード街だとわかり、安堵した。
「えっと、スペード街のどこらへんなのでしょうか……」
「ここはスペード街の北部さ!」
「北部……北部だから……」
「なーに、目的地を教えてくれたら、連れて行ってあげるさ」
「…………レティシアさんの家で――」
「!?」
「どうしたんですか?」
「――お前、あそこの家の執事かなんかか?」
「はい?」
「すまんな坊っちゃん。君を助けることはできない。」
「俺を助ける……ってどういうことですか?」
「おまっ!……その真剣な表情を見るからに、本当になにも知らないようだな……あそこの家は今、大変なことが起こってるんだよ」
「大変なこと!?」
俺がいない間、なにが起きたんだ? もしかして、レティシアさんがさらわれたとか……
「…………王都が隠している兵器を見つけてしまったんだ」
「王都が隠している兵器!?」
「しー!! 声が大きいぞ」
「すみません……それでどうしたんですか? バレてそのあとは……」
「気の毒だが、レティシアの領主が殺された……」
「はぇ?」
「領主は国王に殺された……」
「レティシアさんは……」
「レティシア嬢はまだ小さいから養子に引き取られた」
「まだ小さい? ってどういうことですか」
「そうか、お前はレティシアが生まれたことを知らなかったのか。まあ、お前の場合無理もないな……出兵に行ってたんだろ……」
「ちょっと待ってください! レティシアさんは俺と同じくらいの年齢なはずで……」
「お前はレティシア嬢を誰かと勘違いしているみたいだな。レティシア嬢は去年生まれたばっかりなんだ」
「そんなはずは…………」
「わかった。坊っちゃんにこれやるよ。あいつの家に行きたいんだろ? 直接見ればわかるさ。屋敷は地図通りに進行すればいい。じゃあな……」
俺はその地図を取る。振り返りながら男に感謝をする。
「…………ここを右みたいだな。…………そしてここを左」
そして俺は約20分ほどでレティシアさんの家(?)についた。
「なんだここ…………?」
俺は門を開けた。ドアの鍵はレティシアさんから合鍵として作ってもらっているため、なんなく開いたが……
「なんなんだよ。この荒らされた様は……」
俺は割れた花瓶や倒れたタンスを避けながら、レティシアさんがいる寝室を目指す。
俺はレティシアさんの部屋のはず、と恐る恐るドアを開ける。するとそこには子どもを抱く、男が立っていた。
男は若く、子どもは銀髪で青い瞳をしていた――!? あの子どもはレティシアさんだ!
でもなんで………………?
……………………もしかして、俺は過去に来ているのか!?
「うそだろ!?」
俺はすぐに手を抑える。しかし、男はこちらに気づき威嚇してきた。するとレティシアさんは大泣きし、男に慰められた。
男はレティシアさんをベッドへ置く。
「そこにいる者よ。何者だ!」
俺はここでバレるわけにはいかなかったため、誤魔化すことにした。
「私の名は、ジョ、ジョルンジだ!」
「ジョルンジ? 聞いたことない名だな」
俺は汗水たらすが勇気を出してドアから顔を出した。
「……ジョルンジよ、なぜこの屋敷に入れたのだ?」
「…………あなたのよく知る者に鍵を貸してもらいました」
俺はなんとか誤魔化した。あ、でも実際には間違ってはいないと思う。
「……そうか、奴がお前に……ならこちらへ」
「……では失礼いたします」
俺はドアをゆっくりとしめ、椅子に座った。
「さあ早速だが本題に入ろう。なぜ君はここやって来たんだい? ここへ来たということは、なにか知りたいことがあったからというわけだろ?」
俺は頷く。
「今、ここ最近の事件で起きている真実をお話しください」
「…………フフッ、気づいていたか……お前は中々頭が冴えるな、ジョルンジ!」
俺は、転生前の過去になにが起こったのかは知りたい。そして、現代へ戻る方法はあるのか探したい。
これらのことを模索するために彼に話しを聞くことにした。
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