第15話:魔法の特訓
俺はアンとの再会を果たした。だがしかし、昨日突如助けに入ってきたリリシヤの、存在がバレてしまいそうなのだ。
「蓮、昨日現れたお姉さんは何者?」俺はギクってなり、こたえた。
「あ、あれは、と、友達だよ……」
「嘘だ!お姉さん、蓮を全力で守ってた」
全力で……あのあと何があったのだろうか、リリシヤに後で聞いてみるとするか。
そして蓮は、キラキラした目で見てきたアンの推しに負け、事情を話すことにした。
「今から話すことは他言無用な!」
アンが頷く、
「アン……実は俺、魔王と契約を結び、繋がっていたんだ!」
アンはフリーズしたかのように止まった。
「え……?実は蓮、人類の敵だったってこと!?」
「うん、ごめーー」
「なにそれ!かっこいい!いつも優しくしてくれてたのは、人類を滅ぼすためだったんだね!」
「いや、ちがっーー」
アンの目はキラキラしていた。
「もっと教えて!蓮の秘密!」
俺はアンが、驚かなかったことを不思議に感じた。
「魔王だぞ!人類を滅ぼすかも知れないんだぞ?いいのかそんな奴と関係がある奴に関わって……」
アンは、俺に抱きついてきた。そして顔を上げたかと思うと、押し倒してきた。
「蓮!私が貴方に救われたというのは、紛れもない事実なの!だから、蓮が世界の敵になろうと私は蓮についていく……だから、もっと詳しく教えて!!」
俺は無言でアンの背中を撫でた。
*
という事でアンにリリシヤを、紹介することになり門が開くとアンは飛び跳ねて、嬉しそうにしていたが、
「ここが魔界……なんにもないね……」などとリリシヤが一番悩んでいることを言ってしまった。
「お前がアンだな?お出迎えしてやっているというのに失礼な奴め……」
アンはポカンとしていた。それはそうだ。アンような幼い子供が魔王の圧に耐えられるはずがなーー
「リリシヤさん!黒い服を着ているのはなぜですか?魔力を操りやすくするとか?あとあと、なぜこんな形服装で、ここにナイフが刺さってるんですか?あとは、」
リリシヤはアンに質問攻めをされていた。
「お主、我の物に興味があるのか?しばし待たれよ。」リリシヤはアンにここで待つよう言い、自分の刀や魔道具を取り出してきた。
「まず、私の服についてだが……」
そうやって、アンの全ての質問に答えていくリリシヤであった。
*
アンが質問をしている間に、俺は魔法の勉強をしようと部屋から魔導書を持ってきた。
「せっかく魔界に来てるんだ。魔法の実践くらいして、練習しよう。あと、前買った靴の精度も確認し
たいな」
俺は特急魔導書と強化魔導書を手に取った。
「まず、攻撃魔法を覚えたいけど、特急魔術...それは10万人に1人というら完全なる才能の領域。俺に、こんな俺に、扱えるのかな……」
俺は特急火魔法のページを開く。書いてあったように唱え、脳内でイメージをする。
「混沌なる火の精霊よ。我に力と勇姿を与えん。
すると、魔界の空に小さな星のような炎の玉が現れ、時間と共に広範囲へと無数の炎の玉増えていった。炎の玉は黒、白、赤、青、黄に様々な光を放った。
アンが特急魔法を見て綺麗と言ったが、リリシヤは違った。なにか恐ろしいものを見たかのようにその場で崩れ落ちた。
俺はというと、自分にも特急魔法が使えるのかと浮かれていた。だから水魔法の詠唱を試してみようとした。しかしそこにリリシヤが割り込んだ。
「なんだよ、今水魔法の詠唱をしようとして……」
リリシヤの目から涙が流れていた。リリシヤは特急魔法を使う俺を見て、感動したのかと思い込んでいた。でも違った。リリシヤは俺を抱きしめて、呟いた。
「違う、悪いのはお主じゃない。お主じゃないんだ……お主は今、何が起こっているかわからないと思う。だから、動揺せずに聞いてくれ。お主が今、使ったのは特急魔法じゃない。全ての魔法の原点、
俺は神に殺されるのだろうか……
いや、まだ時間はある。万象魔法の練習をして、神を追い払う。まだ可能性は残っている!
「リリシヤ!!俺を甘く見るなよ!今の俺は確かに弱い。でも万象魔法は神をも超えることができるんだろ?じゃあ超えてやるさ、もがいてやるさ。この世すべての根源で!」
ーーリリシヤは笑った。
「お前のことだから、こんなに心配する必要はなかったか!」
そして、リリシヤは俺の背中をドンと叩いた。
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