第15話:魔法の特訓

俺はアンとの再会を果たした。だがしかし、昨日突如助けに入ってきたリリシヤの、存在がバレてしまいそうなのだ。


「蓮、昨日現れたお姉さんは何者?」俺はギクってなり、こたえた。


「あ、あれは、と、友達だよ……」

「嘘だ!お姉さん、蓮を全力で守ってた」

全力で……あのあと何があったのだろうか、リリシヤに後で聞いてみるとするか。


そして蓮は、キラキラした目で見てきたアンの推しに負け、事情を話すことにした。

「今から話すことは他言無用な!」

アンが頷く、

「アン……実は俺、魔王と契約を結び、繋がっていたんだ!」

アンはフリーズしたかのように止まった。


「え……?実は蓮、人類の敵だったってこと!?」

「うん、ごめーー」

「なにそれ!かっこいい!いつも優しくしてくれてたのは、人類を滅ぼすためだったんだね!」

「いや、ちがっーー」

アンの目はキラキラしていた。


「もっと教えて!蓮の秘密!」

俺はアンが、驚かなかったことを不思議に感じた。


「魔王だぞ!人類を滅ぼすかも知れないんだぞ?いいのかそんな奴と関係がある奴に関わって……」


アンは、俺に抱きついてきた。そして顔を上げたかと思うと、押し倒してきた。

「蓮!私が貴方に救われたというのは、紛れもない事実なの!だから、蓮が世界の敵になろうと私は蓮についていく……だから、もっと詳しく教えて!!」


俺は無言でアンの背中を撫でた。





という事でアンにリリシヤを、紹介することになり門が開くとアンは飛び跳ねて、嬉しそうにしていたが、

「ここが魔界……なんにもないね……」などとリリシヤが一番悩んでいることを言ってしまった。


「お前がアンだな?お出迎えしてやっているというのに失礼な奴め……」

アンはポカンとしていた。それはそうだ。アンような幼い子供が魔王の圧に耐えられるはずがなーー


「リリシヤさん!黒い服を着ているのはなぜですか?魔力を操りやすくするとか?あとあと、なぜこんな形服装で、ここにナイフが刺さってるんですか?あとは、」


リリシヤはアンに質問攻めをされていた。

「お主、我の物に興味があるのか?しばし待たれよ。」リリシヤはアンにここで待つよう言い、自分の刀や魔道具を取り出してきた。


「まず、私の服についてだが……」

そうやって、アンの全ての質問に答えていくリリシヤであった。





アンが質問をしている間に、俺は魔法の勉強をしようと部屋から魔導書を持ってきた。

「せっかく魔界に来てるんだ。魔法の実践くらいして、練習しよう。あと、前買った靴の精度も確認し

たいな」


俺は特急魔導書と強化魔導書を手に取った。

「まず、攻撃魔法を覚えたいけど、特急魔術...それは10万人に1人というら完全なる才能の領域。俺に、こんな俺に、扱えるのかな……」


俺は特急火魔法のページを開く。書いてあったように唱え、脳内でイメージをする。

「混沌なる火の精霊よ。我に力と勇姿を与えん。

星炎せいえんイグナイテッド!」


すると、魔界の空に小さな星のような炎の玉が現れ、時間と共に広範囲へと無数の炎の玉増えていった。炎の玉は黒、白、赤、青、黄に様々な光を放った。


アンが特急魔法を見て綺麗と言ったが、リリシヤは違った。なにか恐ろしいものを見たかのようにその場で崩れ落ちた。


俺はというと、自分にも特急魔法が使えるのかと浮かれていた。だから水魔法の詠唱を試してみようとした。しかしそこにリリシヤが割り込んだ。

「なんだよ、今水魔法の詠唱をしようとして……」

リリシヤの目から涙が流れていた。リリシヤは特急魔法を使う俺を見て、感動したのかと思い込んでいた。でも違った。リリシヤは俺を抱きしめて、呟いた。


「違う、悪いのはお主じゃない。お主じゃないんだ……お主は今、何が起こっているかわからないと思う。だから、動揺せずに聞いてくれ。お主が今、使ったのは特急魔法じゃない。全ての魔法の原点、万象ばんしょう魔法。その力は神をも超え、世界を壊し創造することも可能。だから、未熟なお主を殺しに一か月後、神界の王ラウスがお主の元へと現れるだろう。だから……すまない。もっと早く気づいていればよかったのに……」


俺は神に殺されるのだろうか……


いや、まだ時間はある。万象魔法の練習をして、神を追い払う。まだ可能性は残っている!

「リリシヤ!!俺を甘く見るなよ!今の俺は確かに弱い。でも万象魔法は神をも超えることができるんだろ?じゃあ超えてやるさ、もがいてやるさ。この世すべての根源で!」


ーーリリシヤは笑った。

「お前のことだから、こんなに心配する必要はなかったか!」


そして、リリシヤは俺の背中をドンと叩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る