第18話 潜入

 陽一と加藤は、シンカ本社の立体駐車場に停めた車の中で作戦を確認していた。


「もう一度確認するぞ。俺が内部に潜入して、美咲を探し出す。その間、お前は外からサポートしてくれ。」


「了解。でも、敵の数が分からない以上、無理はするなよ。」


加藤はタブレット端末を操作しながら、ビルの監視カメラの映像をハッキングしていた。


「……地下2階に独立した監禁ルームがあるな。美咲はそこにいる可能性が高い。」


「よし、行くぞ。」


陽一はフードを深く被り、暗闇に紛れるように駐車場を抜け出した。



------シンカ本社・地下2階-----


警備の目をかいくぐりながら、陽一は静かに進んでいった。


加藤が事前に調べた通り、地下には数部屋の独立した監禁ルームがあった。


(美咲はこの中のどこかにいる……!)


足音を忍ばせながら、陽一は一つ一つ扉を確認する。


その時——


「……っ!」


廊下の奥から、話し声が聞こえた。


「社長の指示だ。女はこのまま拘束しておけ。」


「処分はどうする?」


「今夜中に決まるらしい。俺たちは見張るだけだ。」


(美咲がいる……!)


陽一は壁の影に身を潜め、男たちの動きを確認する。


部屋の前には二人の警備員。武装はしていないが、油断はできない。


(どうする? 強行突破か……?)


一瞬の判断。


陽一はポケットから小型の閃光弾を取り出し、床に転がした。


「——っ!?」


強烈な閃光が廊下を照らし、警備員たちは目を押さえた。


その隙に、陽一は一人目の首を掴み、後頭部を壁に叩きつける。


もう一人が叫ぶ前に、陽一の拳がみぞおちに突き刺さった。


「ぐっ……!」


男が倒れる。


素早く扉を開け、中に駆け込んだ。


「美咲!」


椅子に縛られた美咲が、驚いたように顔を上げた。


「陽一……!」


「大丈夫か?」


「……うん。でも、どうしてここが……」


「話は後だ。今すぐ逃げるぞ。」


陽一は美咲の縄を解き、腕を引いた。


しかし、その時——


「待て!」


背後から、冷たい声が響いた。


陽一が振り向くと、そこには桐生が立っていた。


「やはり来たな、陽一。」


桐生の背後には、数人の武装した警備員が並んでいた。


「君がここに来ることは予想していたよ。」


桐生は薄く笑う。


「さて、どうする? 陽一。」


美咲を庇うように立ち、陽一は拳を握りしめた。


(クソッ……! どうする!?)


脱出のチャンスは、わずかしかない——!

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