どうして僕らはこんなことになったのか

第1話

すでに教室が割り当てられていたらしく、僕らは『1ーA』のプレートが下がるドアを開けて入った。



 クーラーが効く中、空いている席へと座る。





 「なんか緊張するね」



 「ああ……」「嘘だねー」



 切り返しが速かった。





 「だってそんな顔してるから」



 「それはだな…………」



 近いからだよ。




 席に座った途端、一緒に来た瀬川(せがわ)は机を動かしてくっつけた。



 その行動をとる前に、今の季節を考えてほしかった。





 「だってこうしないと、二人でパンフレット見れないでしょ」



 「二つもらえば全て解決だったんだけどね」



 「省エネ精神で!」とかいって瀬川は1部しかもらわなかったけど、すでに刷(す)ってあるので省エネも何も関係ない。




 教科書を忘れた生徒の気分に必然的に浸(ひた)っていると、一人の女子生徒が入ってきた。





 「ちょっと席に座ってください」

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