友霊

第1話

いつもこういう場面では緊張する。



 普段はどうということはないし、さっきまでそうだった。




 だが、勝ち負けが見えてくると話は違ってくる。





 「頼んだぞーー!!」



 後ろからピッチャーに声をかける。




 中山(なかやま)は、正直自分が守るセンターまでボールがこないでほしいと思っていた。



 フライなら、ちょうど眩(まぶ)しくない位置だからエラーする心配もない。



 ゴロなら……終わりだ。





 九回裏、ツーアウト。


 ランナーは二、三塁。



 点差は一点だから、ヒット一本でサヨナラ負けもある。





 「頼むよ~」



 いくら少年野球の練習試合といっても負けたくない。


 だから勝ちたい気持ちが強かった。




 ピッチャーがセットポジションに入る。


 ツーストライク、ワンボール。





 (打たれんなよ)





 キィン。



 乾いた音が青空に響き渡る。





 「あっ…………」

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