第3話 贈り物

 オフィスで男が同僚に新しいスーツを自慢していた。

「お、新しいスーツか。それ、ブランドものだろ。」

「わかるか。実はこれ妻からのプレゼントなんだ。ちょっとサイズが大きいけど、サプライズだからしょうがないよな。」

ここで、同僚が鼻をすする。

「どうかしたのか?」

「昨日、寒かっただろ。服、厚くしなかったから。っていうか、さっきのサプライズ?誕生日だったのか?」

「いやいや、先週末、外出先での仕事が早く終わったから、家に帰ったらさ、リビングにこのスーツがかけられていたんだ。俺が早く帰っちゃったから、包む暇がなかったんだって。」



 しかし、男は知らない。

 本当は、男の妻が違う男と浮気していた。さらに、その男は一緒に話していた同僚で、いきなりのことだったため、ベランダの裏に隠れ、スーツを着ないで帰ったのだ。

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