ローティーン

「おれ社会四十五点やった」


「おれ二十三点やったし」



そう言ってワハハと笑いあう、通りすがりの男子中学生二人。


本当は笑っている場合ではないのかも知れないけれど……


なんかいいなあ……


と思うのは、私が大人だからでしょうね。



現役中学生の頃は、そんな男子たちを呆れながら眺めていたような気がします。



今は、あえて恥をさらして自分と友だちを同時に笑い飛ばす男の子たちが眩しい。




昔、父と二人で車に乗っていたときに見かけた、やはり男子中学生たちを思い出しました。



七人ぐらいで競うように駆けていて、全員が大笑いしていました。



「いいなあ。今が一番楽しいときだ」



父の呟きです。




一番楽しいときかも知れない。



一番苦しいときかも知れない。



惰性で生きられるほど世慣れてはいない心が、激しく変化する肉体に翻弄される。



後から思えば濃密な日々。



可笑しくて悲しくて腹立たしくて愛おしい。




あの年代は、一見平凡に見えるひとたちも、ドラマチックです。

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