キセノンウィータ
風月 隼
プロローグ
「お前みたいな役立たずは、消えてしまえばいいんだよ」
「そうだ!そうだ!金も出せねーなら死んじまえよ!」
「こいつ、ホント弱っちいな...w」
人通りの少ない建物の裏で、金属バットを持った三人が地面に倒れている僕を取り囲みながらそう吐き捨てる。
「いい加減、、なんか言ったどうだっ!」
「ッ...」
僕が黙り込んで倒れていることに痺れを切らしたのか、金属バットを振りかぶる。 鈍い音をたてながら、バットは僕の頭に直撃した。
頭がガンガンして視界が霞む...額からは血が出でいる。
…一体僕が何をしたと言うのだろうか。こんな面倒事には絡まれたくなかったなぁ。
そんな事を考えていると、再度金属バットを振りかぶっているのが見えた。
ああ、こんなところで僕の人生は終わるのか...
バットが振られようとしているのを見て、僕は突発的に目をつぶる。
けど、僕の想像していた痛みは来なかった。
「オイオイ、まだこんな昭和チックないじめが存在していたのかよ」
三人以外の声が耳に入り、僕は目を開く。
そこには、オレンジ色の短髪とピアスが特徴的な一人の男が、振りかぶった状態のバットを掴んで立っていた。
「ここは異能者が集まる場所だぜ?そんなくだらないいじめをするとこじゃねーよ」
オレンジ髪がそう言いながらバットを離す。
それと同時バットが三人の前で大きく音を立てて爆発し、周囲が煙で包まれる。
ちょっとすっきりした。
煙が晴れると、三人は地面に倒れていた。あの一瞬で僕よりボロボロになっていた。…凄い。
「痛ってぇ!? なんだ急に」
そう言いながら爆発に巻き込まれた三人は立ち上がる。
「ちくしょう...覚えとけよー」
一人がそう言うと三人はどこかへ走って逃げた。
今どきあんなセリフ言う人いるんだな...。
そんなことを考えていると、オレンジ髪が話しかけてくる。
「…あんな噛ませみたいなセリフ言うやついるんだなw」
「あっ...ハイ、そうですね」
「だよな〜、マジだせぇ。この学園であんなことするやつまだいたんだな。生徒会やら
そう。ここは普通の学校ではない。
”
世界で稀に生まれる人間離れした能力を持つ人間、異端能力者。この学校はそんな異能力者の保護、教育を目的としている。
だからこの学校にはオレンジ髪みたいな能力者がたくさんいる。もちろん僕もだ。
「よし、生徒会とかが来る前にここから離れるか」
そう言ってオレンジ髪は走り去ろうとする。
「あっ、せめて名前だけだも教えてもらえませんか?」
既のところで声をかける。
「俺の名前?
そう言ってアカネくんはこの場を去って行った。
この物語は日色アカネとその仲間たちが異能を通して成長していく物語だ。
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