脱出成功

小さかった頃の僕は童話とか児童文学とかの良さを知らなかった。それは子供っぽいから内容も幼稚だと、大人から言われたのが残っていたのだ。でも実際には、その頃の僕の生活はそういう物語の舞台そのものであった。現実の儚さを知った時、僕はそういう美しさを知ることが出来た。

でも僕の周りのほとんどの人は、僕にああやって言ってきた大人への道を行っているらしい。僕がその美しさを眺めていると、彼らはいつも僕を受け入れはするが、理解はしようとしない。遠い昔には無意識にやっていた事だから、その世界に入る術を知らない。しかしそれは努力不足だった。守り抜けなかったということは、哀れなるものとして僕の目に映った。僕の境遇は少し稀有かもしれないが、それでもその世界を愛する者として、大人の手の中から脱出したことを誇りに思う。

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