神に愛された子
永井晴
気づき
僕はその時まだ中学生だった(もう?)。喧騒のような日々が過ぎてゆく中、部活も何も無いその日の時間はゆっくりと流れた。僕はその頃、懐かしがるということを遂に知った気がした。
マンションの四階に住んでいたので、ベランダに出れば風を浴びながら、僕の住んでいた街をある程度眺めることが出来た。そこには背の低い街並みから飛び出していた小学校の校舎だったり、少し遠くには保育園の近くの大きなマンションが、明確な僕との距離を以て認められた。
ベランダにいると、僕の夢のような記憶は生々しい季節の匂いと結びついて再生された。夢と言っても、特段素晴らしさに満ちているとかそういう形容ではなくて、ただぼんやりとして何処か魅惑的な感じが夢に似ていたのである。
ちょうどベランダは西側にあったので、僕はよく真っ赤に燃える夕日の挙動を見た。そこで得た僕の感情には、とても芸術的とか懐古的だとかの複雑な語彙に当てはめられることも無く、ただ純粋で漠然としたものが、そのまま存在していたのであった。
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