第31話

成人式の後にクラス会が開かれた。


そこでも、唯子の姿は無かった。





里香も、広輝も…。





何となく、寂しい気がした。







もう諦めた、その瞬間だった。




「・・・遅くなってごめんなさい・・・。」




友人たちと談笑していた智也の耳にその声が妙にはっきりと聞こえた。




一瞬、誰なのか分からなかった。




綺麗に染められた、マロンブラウンの長い髪は振袖の名残だろう、華やかにまとめ上げられている。


細身のシャツワンピースにダウンを身に纏った彼女は、どう見てもいい女だ。

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