第10話

二学期が始まり席替えが行われた。





けれどこの時も近い席。





智也は唯子のすぐ後ろの席だった。


唯子の二つ前に広輝と里香。





「又智也と一緒かぁ。」



「嬉しいだろ?」



「全然!!」



そう言って、けれど楽しそうに笑う彼女に運が良いと思った。



この席になれて、運がいい。





けれどすぐに気が付いた。




この席は、最悪だった。






「又一緒だね。野原くん。よろしく。」



「ああ。上野。本当だ。よろしく。」





そんな会話に唯子がパッと前を向いた。




そして、暫く二人を眺める唯子・・・。




「唯子?」



「あ、ああ。野原と里香も、また一緒なんだね。」




振り向いて、彼女は取り繕うように笑った。






その笑顔に、無性に心がざわついた。







はっきりと気が付いたのはその時。




唯子が広輝を好きだ、と。




自分が唯子を好きだ、と・・・。

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