第21話

「まおちゃん?疲れた?」



元気がなくなってしまった、あたしに悠哉さんが心配顔で覗き込む。



ああ。熱まで上がって来た気がする。




「顔真っ赤だよ?熱?」



そう言って額に手を当てる。



益々おかしくなる心臓。



疲れたんじゃないです。

きっとあたし病気なんだ……



けどそんな事、初めて会った悠哉さんに相談なんてできないよ。



「大丈夫……」



嘘つきな言葉を口にした。



「本当に?」



まだ心配そうな悠哉さん。


心配かけないように悠哉さんを見て笑おうとした。


その時、悠哉さんの後ろに動く影。



「あ……!!悠哉さん!!後ろ!!」



「え?」



「ほら!あそこ!!リスリス!!」



「うわ……っ。本当だ!!すご……」



少し感動したかの様に見つめる悠哉さんにあたしの頬が緩む。


大人の男の人なのに、可愛いなんて変な人。

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