第17話
学校の話やお姉ちゃんの話。
帰り道に見つけた栗の木話。
秘密基地の話。
悠真さんはどれも楽しそうに聞いてくれる。
ツツジの花の蜜とサルビアの花の蜜どっちが美味しいって言う話には、悠哉さんはサルビアって蜜あるの?なんて言ってた。
「ねえ、まおちゃん」
「なんですか?」
「ここってさ、リスが住んでるって聞いたんだけど、知ってる?」
「あ!見た事ある!!」
「へえ。見てみたいな……」
「悠哉さんはないの?」
「僕はこんな自然の綺麗な所で生活した事ないから、野生の動物ってあんまり見た事ないんだ」
「ふーん」
なんだか、不思議。
都会にいるこの人なんて、想像できない。
こんな柔らかい人にそんな所これっぽっちも似合う気がしないのに。
「やっぱり、子供の方がそういうの見つけるの得意なのかな……」
ポソリと呟いた言葉になんだか少しチクリとする。
末っ子だし、生まれた時から子供扱いは慣れてる筈なのに……
なんか、いや。
「本ばっか見てたら見つからないよ」
なんか嫌で嫌味っぽくいったのに、悠哉さんはおかしそうに笑う。
「麻央ちゃんの言う通りだ!」
その笑顔に、さっきのイガイガが帳消しになった。
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