第35話

幼い頃の私には、大好きな男の子が二人いた。



一人はよく晴れた青空みたいに優しい男の子。


お日様みたいにいつも穏やかな笑顔で私を見守っていてくれた男の子。

私はいつも、彼に届かない手を伸ばしていた。



もう一人は、芽吹く大地みたいな強い男の子。


大地みたいにいつも私の傍に寄り添ってくれていた男の子。

私はいつも、差し出されていた彼の手を無視して傷付けていた。




ねえりっくん。


それでも私は、りっくんの事が大好きだったよ。


本当は今も、大好きだよ……




いつかりっくんに私より大切な女の子ができたら、今度は四人で笑えるかな?

きっと私は少し寂しく思うだろうけど。


それでも、ずっと私はりっくんを待っているよ。




恋ではなかった。


愛でもなかった。





それでも君は、誰よりも、大切な人だったよ―……





―完―

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忘れ雪が舞い散るなかで…… 春日 ここ @coco_haruhi

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