第31話

「ずっと一緒って、別に、本当に一緒じゃなくて……心の距離のことで……ずっと、きょうだいみたいに……わたし……」



りっくんはいつも私をバカにするけど、私だってそんなにバカじゃないよ。

そうちゃんはいつも私を子ども扱いするけど、私だってそんない子供じゃないよ。


分かってたよ。

いつかは離れるんだって。

きっとそろそろなんだって。

でもずっと、遠くにいても、離れ離れになっても……りっくんとは本当に、きょうだいみたいに思いあえるって。

笑って『またね』って言い合えるって。

心はいつもそばにあるって。


そう信じてた……



「私のこと、本当はずっと嫌いだった……?」



しゃがみ込んだまま見上げる私に、りっくんは俯いた。

しゃがんでいると、ますますりっくんは遠かった。

りっくんの考えてることが私にはまったくわからない。


ねえりっくん。

どうしてりっくんがそんな、傷ついた顔をするの……



「ごめん……」



りっくんは、静かに私の前に片膝をついた。

やっと、りっくんと私の視線が絡む。

そうでもしないと、私達はもう、視線を合わせるこすらできなくなっていたんだ……

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