第37話

そんな彼が、昼間に仲良く手を繋いで女の子と歩いてた。




二人でマンションの一室に入って行った。




なんのいい言い訳も、思いつかなかった。




その瞬間、盲目にはなり切れなかった。







何も言わず、騒がず、ただ彼の連絡先を消去して。


連絡を無視すれば。




しばらくは何度か鳴った携帯も、すぐに鳴らなくなった。






あたしは、そんなもんなんだ・・・。






けれど、縋り付かなかったあたしにとっても、彼はそんなもんだったのだろうか・・・。







よくよく考えれば、あたしは彼の携帯電話と彼の顔しか知らない。



二人が消えたマンションが、彼の家なのかどうかも分からなかった。



それなのに満足出来てしまう程、あたしは彼に興味が無かったんだろうか・・・。







バカだなと、自分でだって思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る