即堕ち2コマの話

米太郎

高校時代

文化祭の後夜祭。

学園の恒例行事として、男女で手を繋いでフォークダンスを踊る。


キャンプファイヤーの周りに並んでいると、声をかけてくる女子がいた。僕は何も答えられずに話しかけられるままだった。



「男女でフォークダンスするっていうのが決まりになっているけど、アンタは相手がいないんじゃない?」



すごく威圧的に言ってくる女子。

確か名前は、二駒ふたこま落子おちこさん。


「まぁ、アンタなんかの相手する女子なんていないでしょうけど? なんか不潔そうだし?」



眉間にしわを寄せて、こちらのことを嫌ってそうな目つきを向けてくる。


「アンタ、手とか洗ってないんじゃない? そううの生理的に無理なんだけどー。まじむりー!!」



嫌だったら、話しかけなければいいのに、二駒さんはわざわざ直接話しかけてきて、悪口を言ってくるのだ。


「アンタなんて、ボッチでいたらいいじゃん。この学校になんて、まさに『天下無双』ってやつじゃん? あははは! ボッチ無双、まじウケる!」



僕は一人でいることが多いのだから、どうしようもない。何も言い返せることが無いな。


「アンタなんて、家に帰って布団にくるまって寝てろよ。外に出てくんなよ! キモイ奴は引っ込んでろよ!」



罵られているうちに、フォークダンスの音楽が始まった。二駒さんは、僕の手をつまむように人差し指と親指だけ触れてくる。


「あぁー、始まった? しょうがないから、高校生活最高の思い出残してやるわよ。汚い手であんまり触れるんじゃないわよ!?」


僕は初めて女子とフォークダンスというものを踊った。

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