三国志サッカー

川野遥

シン夷陵・蜀vs呉

第1話

 蜀の丞相・諸葛亮は魏を倒すために日々頭を練っていた。


 しかし、魏を倒すためにはどうしても多方面作戦が必要……呉の力が欲しい。


 ところが折りしも荊州の情勢が悪化してしまった。

 呉は漁夫の利を狙おうという意欲が明らかであり、その日和見対応に関羽が激怒していた。

 諸葛亮は何とか宥めて対応しようとしたが、呉が対応を改めることはない。


 遂に諸葛亮は激怒した。

 必ずやあの暴虐なる呉を倒さなければならないと、その討伐を決意した。


 諸葛亮は自分の死後の武将も含めて(あまりいないが)蜀代表チームを組織し、宣戦した。

 蜀の暴発に怒った呉も代表チームを編成して西進。

 両者はついに夷陵スタジアムで対決することとなった。



 両チームのスタメン及び登録メンバー

【チーム蜀】

GK:①馬謖

DF:②王平、④龐統、③張飛、⑤魏延

MF:⑦劉備、⑮黄忠、⑧趙雲、⑩関羽

FW:㉒孟獲、⑱馬超

監督:諸葛亮

SUB:⑫羅憲(GK)、⑥簡雍、⑬関平、⑭姜維、⑯沙摩柯、⑰周倉


【チーム呉】

GK:①孫権

DF:③陸胤、④徐盛、⑤周泰、⑥陸遜

MF:⑦太史慈、⑧陸抗、⑪周瑜、⑱呂蒙

FW:⑨甘寧、⑩孫策

監督:孫堅

SUB:⑫張昭(GK)、②顧雍、⑬張悌、⑭董襲、⑮呂範、⑯賀斉



図はコチラ:https://kakuyomu.jp/users/kawanohate/news/16818622171622932154



 ホームの呉も怒っていた。


孫堅「おのれ、蜀め。漁夫の利を狙うことの何が悪いのだ?」

甘寧「そうだ! この機に蜀をギャフンと言わして天下二分の計を完成させるのだ!」


 甘寧は鼻息荒く叫んでいる。



 主審の献帝が試合開始のホイッスルを鳴らした。

 呉のベンチでは監督の孫堅が、まずサイドバックの陸遜にボールを渡すことを指示している。


孫堅「陸遜は優秀だし、若いから走っても疲れないだろう」

陸遜「……演義で勝手に若い扱いになってますけれど、本当は孫権様の一年年下なだけなんですけど」


 孫権は182年、陸遜は183年生まれ。孫権に「若僧」と呼ばれるいわれはない。


 ともあれ、陸遜は攻め上がろうとするが。


陸遜「むっ、この石は何だ?」


 陸遜、右サイドに仕掛けられた石が気になり、その配置を考え始める。


陸遜「ここが、ああ。あそこがあぁ。となると、こうやったら出られる? むむっ、戻ってしまった。どうなっているのだ!?」


 陸遜、石兵八陣に迷い込み、一時的に試合から離脱。


諸葛亮「フフフ、陸遜の上がるスペースに石兵八陣を敷いておいて正解でした」

呂蒙「こらー! 審判は何をやっているのだ!」


 呂蒙は審判に怒ったものの、あまりに粗暴だったために非紳士的行為によるイエローカードを出されてしまった。


孫権「呂蒙、おまえは短気で考え無しすぎる。もっと勉強しなければダメだ」

呂蒙「……すんません」



 蜀チームは関羽が五人抜きドリブルを試みたり、馬超がひたすらボールを追いかけるだけで中々チャンスが作れない。

 一方、呉チームはチャンスを作ろうとするものの。


孫堅「うおー! またオフサイド!」


 孫策と甘寧の(考え無しの)ツートップがオフサイドにひっかかりまくる。

 龐統がディフェンスラインを連環の計で繋いでおり、一糸の乱れもなく動いているため、太刀打ちできない。


周瑜「おのれ! 猪口才なことを! 連環の計など、この美周郎が突破してくれるわ!」

陸抗「はい、スルーパス!」


 意気込んだ周瑜だが、しっかりオフサイド。

 ショックの周瑜、ピッチに倒れ込む。


周瑜「おのれ! 天はこの周瑜を生まれさせながら、どうして孔明まで生まれさせたのだ!」

諸葛亮「そのオフサイドトラップは私じゃないです」

龐統「アッシだから」

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