第24話

【ユリ視点】



 約、三年後――


 毎日のように、トウヤちゃんの元に通った成果がそれなりに出たのだろう。


 トウヤちゃんは、ベッドの上だけでなく車いすを使って移動できるまでに回復していた。


 肉付きもすっかり良くなり体重もずいぶんと増えている。


 髪の毛は、白いままだけど……


 一時期に比べれば、とても可愛らしくなったと思う。


 リハビリも順調で、特にナナミちゃんが付き添ってくれているのが大きいみたいだ。


 私自身、恋人がいるからなのかもしれないけど。


 なんとなく二人がいい雰囲気を出してる時があるような気がして聞いてみたところ。


 トウヤちゃんはナナミちゃんの事が好きで。


 ナナミちゃんもトウヤちゃんの事が好きで。


 つまり、二人は両想いだったりしたのだ。


 昔の私なら、きっと嫉妬していただろうに。


 心の底から二人の事を祝福してあげようと思えたし。


 なにより、ナナミちゃんならトウヤちゃんの事をまかせられると思って安心しちゃってた。


 新しい、魔法を手にする前の私が今の私を見たら。


 きっと、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。


 とか、言いそうである。


 それなのに、今の私には後悔とか一切ないし。


 むしろ、アイちゃんの想いに応えられて嬉しいまである。


 そんなアイちゃんは、お母さんの勤めてる会社に入るためにアルバイトと言う名の新人研修みたいな事をやりながら大学に通って経済の事を学んでいる。


 そして、私は保育士にでもなろうかなぁ。


 という軽い気持ちで専門学校に通っている。


 簡単な治療行為が出来る保育士さんは需要が高いと聞いたのが決め手だった。


 もちろん第四の魔法はナナミちゃんに言われた通り秘密にしてるし。


 魔法を使うと反動があることも知っている。


 アイちゃんに、教えてもらったからだ。


 その点では、アイちゃんも、なかなかの策士っぷりだったんだなぁ。


 なんて思ったりした事もあったけど。


 将来を誓い合った私からしたらささいな事だったりする。


 だってもう性欲とか、そう言うの抜きにしても私はアイちゃんの事が大好きだからね!


 最近の悩みと言ったら、私達の事をいつ両親に打ち明けるか?


 と、言ったことくらいだろう。


 まぁ、お父さんは分からないけど。


 勘のいい、お母さんの方は、なんとなく気づいちゃってる気がしなくもないけどね。


 それでも、何も言わないところを見るとOKもらえそうな気がする。


 当初の予定とは、だいぶ違っちゃったけど。


 これはこれでハッピーエンドなのかもしれない。




 おしまい

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マジカル☆スクロール 日々菜 夕 @nekoya2021

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