太陽がブラックホールに吸い込まれる時 短編小説集
Taku
太陽がブラックホールに吸い込まれる
僕は、毎日夕日を見る。
太陽が落ちる瞬間に輝くあの赤い色はなんだろう。
普段はまぶしく感じる太陽も見ることができる。
僕は、高校の帰り道によく夕日を見る。
吹奏楽部に所属していて帰りが遅い。
今、僕は下校中である。
家に帰った後、お母さんがいた。
「おう、ひとし帰るのおそいじゃん」お母さんが言う。
「え、いつも通りだと思うけど」僕が言った。
「夕食作ったから食べて」お母さんが言った。
夕食は、白いご飯に、麻婆豆腐
鶏肉であった。
僕は、鶏肉が好きだったので
喜んで食べた。
食べ終わった後、楽器の指の練習を
家でする。
眠った後、また学校に行くというサイクルになった。
学校では、友達のたけるがいた。
「おう、昨日のご飯何食べた」たけるが言った。
いきなりの質問だったので
少し戸惑ったが、
「鶏肉食べたけど」僕が言った。
「鶏肉いいね、俺なんてハンバーガーだぜ」
「ハンバーガー夜に食べるの」
「そう、買ってきて食べた」たけるが言った。
たけるが自分で料理するのがめんどくさいとき
飲食店のテイクアウトに頼ることがあるらしい。
「そういえば、聞いたか。太陽が
ブラックホールに吸い込まれるって話らしいぜ」
たけるが言った。
「それって、いつの話」
「半年後に太陽がブラックホールに吸い込まれるって
報道してた」
「冗談でしょ」僕が言った。
僕はびっくりしたので、
スマホで検索してみると
実際にそのことが書かれてある記事を見つけた。
記事の内容は
「研究者のカーソンによると、半年後の2月12日に
太陽がブラックホールに吸い込まれると研究所の調査をして
わかった。
ブラックホールは突如として
現れることを数式により計算し
そこから導きだされた答えが
半年後ということのようだ。
著名な人なので
天文学者たちの間では話題になっており、
本当に起こるという見方らしい。
一方、政府は混乱を避けるため、
正確な情報が出るまで、これ以上の情報は出さないようだ」
僕はこれを見て、
本当に太陽がブラックホールに吸い込まれるんだと思った。
そして、すでに世界は混乱状態なのではないかと僕は思った。
だって、太陽がなくなったら、朝や、昼がなくなって
毎日夜になるんだもん。
いや、違うか、太陽からの熱がなくなって、極寒になるのか
この記事を見た後、
ホームルームが始まり、
僕は席についた。
そして、時間が過ぎていき
部活の時間となった。
僕は、半年後には地球がなくなるのか
と思いながらトランペットを吹いていた。
そこから部活が終わって
5時ぐらいになり、
夕日がだんだん沈んでいくところで
僕は公園のベンチで夕日を眺めている。
半年後には、夕日というものがなくなる太陽に向かって
僕は吠えた。
「絶対にブラックホールに勝てよ。
お前はこの太陽系で一番輝いてるんだから、
絶対に闇になんか負けるな。
お前は一番、真っ赤な太陽として
君臨してくれ」
僕はそう叫んだあと、
家に帰った。
そして半年後いよいよ
太陽がなくなるとき、
僕はテレビの報道を眺めていた。
世界は悲壮感であふれている。
時が過ぎていくが
いっこうに太陽がなくなる気配はない。
そして、
太陽がブラックホールに吸い込まれる日時
から5日後、
研究所から
間違った計算をしていたことが伝えられた。
世界はすくわれた。
この場合、世界はすくわれたというより、
僕たちが情報に踊らされたというだけだった。
僕はその日の夕方、
公園に行き、夕日をみた。
「やっぱりお前は、ブラックホールに
打ち勝ったんだな
光が闇に勝ったのだな」
僕は夕日に向かって言った。
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