トーク番組〝瑠璃色のひととき〟

夜桜くらは

〝瑠璃色のひととき〟

「ラジオをお聴きの皆さま、こんばんは。今週も〝瑠璃るり色のひととき〟の時間がやってまいりました。パーソナリティは私、夕部ゆうべ美夜みやと」


暁月あかつき晴翔はるとでお送りします。今夜もぜひ、最後までお付き合いくださいね」


「はい、よろしくお願いします。さて、今夜もたくさんのおたよりをいただいています。まずは、ラジオネーム〝月夜に恋して〟さん。『美夜さん、晴翔くん、こんばんは』」


「はい、こんばんは」


「『いつも楽しく聴かせていただいてます。私は今年受験を控えているのですが、なかなか勉強に集中できなくて……。お二人は勉強するとき、どんなことをしていたのか教えてください』とのことなんですが」


「おぉ、受験勉強か。懐かしい響きだね」


「そうですねぇ。暁月さんはどうでした? 勉強、好きでしたか?」


「まあ、勉強は嫌いじゃなかったけど……。やっぱり、受験勉強ってなると大変だなぁ」


「確かに。私も大変でした」


「夕部さんはどんな風に受験勉強してたんですか?」


「私は、学校の授業をしっかり聞いて。あとはひたすら問題集を解く、っていう感じでしたね」


「おー、王道ですね」


「暁月さんは?」


「俺は授業はちゃんと聞いてたけど……。あと、気分転換によくピアノを弾いてたなぁ」


「ピアノ! へぇ、暁月さんピアノ弾けるんですか」


「まぁ、ちょっとかじった程度だけどね。試験期間中は、勉強漬けで気が滅入めいりそうだったから……。音楽を聴くとか、ピアノを弾くとかして気分を上げてたなぁ」


「なるほど〜……良いですね、そういうの。私はピアノとか楽器は全然ダメなので、ちょっとうらやましいです」


「あ、そうなんだ」


「はい。楽器ができる人って、なんかカッコいいじゃないですか」


「そういうものなの?」


「そういうものなんです。……それに、暁月さんダンスだってできるじゃないですか。楽器までできるなんて……もう、なんかずるいです!」


「えぇ……。そんな、ずるいって言われてもなぁ……」


「……ふふふ、冗談ですよ。ちょっと言ってみただけです」


「なんだ、冗談か……。良かったぁ」


「ふふ、すみません。……話がちょっとれちゃいましたけど、勉強するときに音楽を聴くのはいいかもしれませんね。〝月夜に恋して〟さん、受験勉強、頑張ってくださいね!」


「俺たちも応援してるよ。頑張ってね」


「さて、次のおたよりを読みますね。ラジオネーム〝天下無双のペン〟さん。『美夜ちゃん晴翔くんこんばんは!』」


「はい、こんばんは〜」


「『いつも楽しく聴かせていただいています! お二人は学生時代モテたんじゃないですか?(笑)』……って、これは……」


「……この手の質問が来るの何回目だっけ?」


「えーと、確かこれで三回目くらいですね。そして、こんな質問が来る度に、私は『モテなかった』と答えています」


「……なんかもう、お決まりのパターン化してるよね」


「そうなんですよねぇ……。でも、本当にモテませんでしたよ? 私、女子校に通ってたので」


「あ、そうなんだ。それは初耳かも」


「そうですっけ? でも、女子校って本当に出会いが少ないんですよ。私の通ってた学校はバイトも禁止だったし」


「でも、ほら。夕部さん美人だから、出掛けた先で声かけられるとか」


「ないない。暁月さんは私を買いかぶりすぎですって。……まあ、そういう暁月さんはどうでした? 女の子たちからキャーキャー言われてたんじゃないですか?」


「えー……どうだろ? よく覚えてないなぁ」


「絶対そうですよ。あー、これだからイケメンは……」


「いやいや、そんなことないよ。どっちかっていうと怖がられてたかなぁ。ほら、俺って目つき悪いし」


「ふふ、確かにちょっと鋭いですもんね、暁月さんの目。キリッとしてるっていうか」


「うん。まあ」


「でも、そこが良いんですよ。カッコいいです!」


「そう? ……なんか照れるな。ありがとう」


「いえいえ。……こんな感じで良いんでしょうかね? 〝天下無双のペン〟さん、おたよりありがとうございました! ……さて、次のおたよりを読みますね。ラジオネーム〝こたつみかん〟さん。『夕部さん、暁月さん、こんばんは』」


「こんばんは〜」


「『毎週楽しみに聴いています。最近、暖かくなってきましたね。花粉症の私としてはちょっとつらい時期です』……あぁ、わかります。私ももう目がかゆくて痒くて」


「俺は花粉症じゃないからなぁ……」


「いいですよねぇ、花粉症じゃない人って。この辛さがわからないなんて、羨ましい限りですよ」


「あはは……。えっと、続きは何て書いてあるのかな?」


「あ、そうでした。『そろそろこたつをしまおうかと思っているんですが、また寒くなりそうで迷っています。お二人なら、いつ頃にこたつを片付けますか?』だそうです。……うーん、これは難しい質問ですね」


「確かに。でも、俺はわりと早めかたしちゃうかな。三月の終わり頃とかに」


「え、それは早いですね。私はいつもギリギリまで出しっぱなしにしちゃいます。今年こそは早めに片付けようと思うんですが……」


「夕部さん、寒がりだもんね。めっちゃ着込んでるイメージある」


「そうなんです。……いや、寒いのは苦手ですけど、こたつ布団って洗うの大変じゃないですか? だからどうしても後回しになっちゃって……」


「……あ〜、わかる。それもあって俺は早めに片してるとこあるなぁ」


「ですよね! やっぱり、そう思っちゃいますよね?」


「うん。まあでも、さすがに梅雨入りまでには片付けた方が良さそうだよね。乾かなくなっちゃ困るし」


「そうそう! そういうことなんですよ。……なので、〝こたつみかん〟さん。こたつを片付けるタイミングは、梅雨入りまでにすれば大丈夫だと思いますよ」


「まぁ、それぞれご家庭の都合もあるだろうから、参考程度にね」


「はい。おたよりありがとうございました! ……さて、次が最後のおたよりになっちゃいそうです」


「あ、そうなんだ。もうそんな時間なんだね」


「はい。……それでは、読みますね。ラジオネーム〝Azusa〟さん。『美夜みやねえはるくん、こんばんは!』」


「はい、こんばんは〜」


「『私は先月、二十歳はたちになったのですが、お酒が飲める年齢になったことが嬉しくてたまりません! お二人はお酒って飲みますか? おつまみとかにもこだわりがあったりするんでしょうか。教えてほしいです!』……とのことです」


「お、二十歳になったのか。おめでとう!」


「ね〜。おめでとうございます! ……さて、お酒の話が出ましたけど、暁月さんはお酒って飲みます?」


「俺はあんまり飲まないかなぁ。付き合いで飲むことはあっても、自分から進んで飲むことはあんまりないかも」


「あ、そうなんですか。ちなみに、どんなお酒が好きとかあります?」


「うーん……いて言うならハイボールかなぁ。甘くなくて、さっぱりしてるやつが好き。夕部さんは?」


「私は梅酒ですね。甘いのが好きなんで。自分でも作ってみたいなぁと、思ったり思わなかったり」


「自家製梅酒か。いいね」


「ですよね! ……こう、漬かったかなぁ? って、味見してみたり」


「……夕部さん、それ味見で全部無くなるやつだよ」


「うっ……! いや、ちょっとなら大丈夫……なはず。うん、きっと大丈夫です!」


「大丈夫じゃなさそうな気がするなぁ……」


「ま、まあ! それは置いておいて! おつまみの話に戻しましょう! ね!」


「はいはい。……でも、俺はそんなにこだわりとかはないかな。そのときに食べたいものを食べるって感じで」


「なるほど……。あ、私けっこうおつまみを作るのが好きで。春雨サラダとか、手羽先の唐揚げとか」


「へ〜、美味しそ……。夕部さん、料理得意なの?」


「うーん……得意というか、好きですね。食べることも好きだし、自分で作るのも好きって感じで」


「そうなんだ。いいね、そういうの」


「ふふ。ありがとうございます。〝Azusa〟さんも、色々と試してみると良いかもしれません。おつまみって無限大ですから!」


「はは、そうだね。あぁでも、飲み過ぎには気をつけないとね」


「あ、それは本当にそう。飲み過ぎると身体にも良くないので、ほどほどに……ですね!」


「だね。というわけで、〝Azusa〟さん、お便りありがとう!」


「ありがとうございました! ……さて、そろそろお別れのお時間です。今夜もお付き合いいただき、ありがとうございました」


「リスナーの皆さん、ありがとう!」


「この番組では、皆さまからのリクエストやおたよりをお待ちしています。ぜひ気軽に送ってくださいね!」


「宛先は……〝桜満開FM〟の公式ホームページからメールフォームに飛べるので、そちらからお願いしまーす。たくさんのご応募、お待ちしていまーす!」


「それでは、また来週お会いしましょう。お相手は夕部美夜と」


「暁月晴翔でした」


「「皆さん、おやすみなさい。いい夢を!」」

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