第4章:彼を頼りたいけど

第1部:迫る私の誕生日……

第31話:話が進まなくて

 実は彼から返事が来るまで、考えていたことがありました。


――彼にとって、仕事とは何か?


彼という人をまだまだ知るためでもありますが、どうして仕事優先にしがちなのか、彼の姿勢を知ろうという目的でもありました。交際11か月が経過し1年を迎えるまで、そしてその直前に迫る私の誕生日までのカウントダウンが既に始まっていました。


 職場の方々からは『待つだけの時間が無駄過ぎる』『別れるべき』という声しか出てきません。確かに2か月待って……いくら頑張っても、職場の方々にも、両親にも、そして本作に目を通してくださる方々にも……いい報告を届けることができませんでした。


……私の力不足を、感じています。


それでも私は何も悪くないと、職場の方々は気にかけてくれています。しかし、緊急搬送されてからですが、職場の方々の反応に違和感を感じていました。


 生理中にも関わらず行為を強行されたり、私の誕生日をすっぽかされたり、初対面から手を出そうとしたり、自分のミスで財布を落とし私に借金し『返すから』と言っても半分も返ってこなかったり。今までの男らから精神的なダメージを受け、長くトラウマを抱えていました。彼のおかげでトラウマを少しずつ克服し、次第に心から受け入れられるようになりました。彼に恩がある以上、そう簡単に縁を切ることはできません。


〈大丈夫かい? ちょっと色々考えようか〉


大丈夫? なんて言われなかったらここまでだろうと思っていました。仕事人間の彼でも、無関心ではいられない出来事だったって、そう受け入れてくれると信じています。


〈まあ、今日休みだったのが不幸中の幸い。生理来るタイミングには問題はないけど、性交最後にしたのいつかって、診察で一応聞かれたので正直に答えたからご了承ください〉


私、続けて送ります。


〈色々考える前に、ひとつ聞きたい〉


夜10時過ぎ……遅い時間にLINEが来ることはかなり稀でしたね。でもすかさずお返しします。


〈うん、なしたの〉


〈貴方にとって仕事とは何か、聞いてみたかったんだ。それを知ってから、色々とゆっくり考えたいと思ってる〉


さすがにこの続きは翌日になりましたが、彼はを受け止めたそうです。


 翌日、何事もなかったかのように普通に仕事。店舗自体の決算棚卸し日がもうすぐ。Rさんへ事前準備のお仕事の協力を経て、薬局エリアはスムーズに進みます。


〈仕事とは何かってなんか考えさせられるけど……働いてる人達に対してもそうだし、店に来てくれる人にもそうだけど、より良くする責任はあるよね〉


彼自身の答えを聞けたところで、本題に入ります。


〈色々考えたいんでしょ?〉


しかしここから、彼からのLINEの返事が1日1回気味になります。


〈体調悪くなるぐらいだからねー……〉


〈例えばどんなこと考えた?〉


返事は翌、月曜日。


〈一旦距離置いた方がいいのかなーとか……正直ちょっときついよね〉


〈緊急搬送されたことを振り返ってみて、ちょっとでも頼りたいよなー、とは思った〉


返事は翌、火曜日。


〈ふむ……〉


あれこれ考え、私が送った内容は。


〈うちも、一旦距離を置くのはやっぱりきついなぁ……〉


私からの言葉は続きます。


〈できれば、お互い寄り添って支え合っていけたらいいなって思ってる。焦らなくていいから、これからのこと一緒にゆっくり考えていこう?〉


 火曜、仕事から帰宅後に返したこの返事以降、彼の応答がまたしてもストップ……。どうしようか考えていて、そう簡単には形にはできないんだろうなと理解しようとはしましたが、話がなかなか進まないことへの苛立ちが大きくなっていきました。無事棚卸しが終わり、暫くバタバタ動いていた私の仕事ぶりも、落ち着きを取り戻しました。


 もう1日待って再度連絡するかぁ、と思ってましたがバッドタイミング。7月最終日の31日は生鮮組恒例の月末の棚卸し日でした。彼が6月末の時、月末棚卸し作業が終わるのが遅かった(深夜だった)のを聞いていたからか、再度LINEを送るのを躊躇していました。これでは返事をしっかり読まず、後で返事しようとして置き去りにされるかもしれません。


……そんな中。


「Yさんとは結局どうなった?」


私が休憩中、前回登場した、ハード担当の社員さんがお昼に入るタイミングで聞いてきます。


「どうなった、というか……話し合いがなかなか進まなくて。1日1回LINEの返事が来ればいいところなので」


日曜頃から、彼から来るLINEの返事が1日1回になってきてます。火曜の夜から止まってます。


「1日1回って、それって彼氏彼女の関係じゃないでしょ」


前の男の時は2、3日に1回でしたよー? 特に突っ込むことはしなかったけど。


「(ここまで待たされるぐらいなら)暫く連絡取るだけの関係にしようって話はしたんです」


でも、イエスもノーも聞けないまま、出先で倒れて緊急搬送されたんだよなぁ……。


「いや、ばっさり別れよう」


ばっさり縁を切る――私自身、これが納得いきません。


「Yさんに、結局どうしたいのか聞いたの?」


「『一旦距離置いた方がいいのかなぁ……でも正直ちょっときついよね』とは、言ってましたけど」


「……もう、やめた方がいいと思うよ?」


 その後、彼に離婚歴があること、両親への挨拶にまつわるお話に。


「彼は1回、離婚してます。元嫁さんとの間に子供がいます。多分今も毎月養育費を払っているはずです。私は別に、それはそれでやっていただいて構わないと思ってます」


養育費の件に関し、それはそれでやっていただいて構わない――本人にはっきり言うべきだったか……このお話を書きながらそう思いましたが。この社員さんにも離婚歴があり、自分自身の経験を振り返りつつ、『(離婚歴があるんであれば)?』と突っ込み。前回書きませんでしたが、私の両親へ挨拶しに来てもらうよう彼にちらっと言ったものの、微妙な反応だった、という話もしてあります。


「(両親への挨拶から)逃げているとしか思えない。俺の時は何回も会って、一緒にバーベキューとかしたからなぁ……」


「私の親が変わっているのもあるんですけど、無理に何回も会えって言いません。私自身のけじめとして、1回だけでもいいから挨拶しに来てほしいのが正直なところです」


私がそう言う背景として、姉が結婚した際の当時の話を明かしました。


「……お姉さん、強い」


はづきさんのご両親、ウェルカムでしょ? と呑気なことを言うからこうなります。


 帰宅後に再度LINEを送るのをやめ、そして8月に突入――。


〈急にごめんね。あんまり重く考えなくていいんだけど、これからのこと、少しでも話し合えたらいいのだけれど……〉


彼はどう言う? 次回へ続く……。




※姉が結婚した際の当時の話及び挨拶のお願いの件は、詳しくは第19話後半部分参照。

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