パーティがみんな元婚約者、私女の子ですけどね【百合確約病冒険】〜逃走率100%バレる〜
タナカァ
序章 勇者パーティ
序章1 ああ、逃げたいなあ
ピコン…
ピコン…
【||||| 100%になりました。アラームを開始します】
朝から元気にピコピコと音を立ててるよ。
はあ…カーテンからの日の光が縦の列となって身体から顔まで斜線となる。まだ皆んなは起きてないかねえ。不安だからと一緒に寝ようって言ってた彼女たちを説得して勝ち取ったベットは初日にして離れ離れになりそうだ。
そんな嫌な気持ちを隠すようにベットに深く沈む。ちょっとだけ私より大きくていいベットなのに残念…。
ガタガタと足音が聞こえる。やっぱり、起きてしまったか…。
最高だった一人の時間に名残惜しくも別れを告げて布団を被って寝たふりをする。
バタン!!!!
ドカーーーンって音を立てるように入ってきた気配がした。足音は私の前で止まる。
. .
「また逃げ出そうとしたんだ?」
布団の中で暖かさから離れられない。朝から元気だなって思うんだ。だって陽の光からしてまだ朝も早い。朝早くに考え事をしてしまうのは少し憂鬱だったり、寝不足だったりが理由らしい。でも考えてしまうのはしょうがないじゃないか…だって旅が始まってしまったんだ。
「……逃して欲しいな〜?お願い、素敵で可愛くて慈愛に満ちた皆様方。その心を持って私を解放してはくれないだろうか?」
「…するわけないじゃん。」
友達みたいに軽い感じで言ったんだけど気に食わなかったのかな。上から降り注ぐのは強張った声色。朝だからかな?声が低いよ。まあ、きっと怒ってるんだろうね。こんな不甲斐ない私にさ。
目の前が光で溢れる。
「うわっ!」
「ほらっ、アラームきたから分かるけどやっぱり逃走率100%になってるじゃん!もう…逃すわけないのに。やっぱり一人で寝たのが悪かったわ。早く起きて、これつけて、はい。」
そうやって渡されたのは黒い布。ちょうど目を覆うようにピタッと巻けるような布だった。わたしはまだ光になれない目を擦りながら、嫌々と受け取る。
そして受け取った布を目の前に出すと、、、
不思議なことにその布はモンスターみたいに動いえ私の目を覆い隠す。
「ブラック」
何故か黒い布を巻いても違和感なく見えてた視界が、彼女の言葉によって真っ暗闇に広がる。…はい。分かってました。
これは魔法具として最悪なもので、私を物理的に縛り付ける一つだった。私は起きてる間中これをつけてるんだよ。最悪だろ??
そんな恨み言一つ言いたくなるよななんて諦めの感情と共に宙に思考を投げていると、私のジャラジャラとアクセサリーで穴だらけの耳をそっと触る感触。一つ一つ確かめるように…ゆるりゆるりと指先が通る。
思わずピクリと身体が動いてしまう。
悪趣味なんだうちの勇者は。
…視界が無くなるとそれ以外の感覚がやけに鋭くなってしまうのはしょうがないだろう?指先一つの触り方…そして次に撫でるんだろって感覚的に受けるような思考に陥ってしまう。
はあ…。
そして、そんな私を強く強く抱きしめるんだ。「好き」って言葉と共に。
ピコン
【||||| 100%になりました。アラームを開始します】
「最悪だね。」
こっちのセリフだよ!勇者は私が逃げられないのをわかってこんなことするんだ!!!
いや、勇者だけじゃないのはわかってた。首先に触る手も、足を撫でる指も…このパーティの仲間だってわかってた。だから逃げたいんだよ!!!!
愛が深いパーティなんてクソ喰らえだ!!!
にがしてくれ!!!
…お姉ちゃん、、私、、お姉ちゃんに会いたいよ!!もう頑張ったよね…。
ピコン
【||||| 100%になりました。アラームを開始します】
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