ギャルだけど異世界で天下とってイイっすか?

柚子

第1章:ギャル、異世界で盛り直し☆

第1話:タピオカ片手に転生☆JKギャル、轢かれて異世界

「うわ、マジありえないって! 信号赤じゃん! ってか早っ、ヤバッ――」


私、星川ユメ(ほしかわ ゆめ)、17歳の現役JK。渋谷帰りに原宿のタピオカ屋でインスタ撮ろうとしてたら――

まさか、トラックに轢かれるなんて、誰が予想するよって話☆


 


気づけば、風がすーすーしてる草原のど真ん中。足元、ブーツじゃなくて裸足。手に持ってたタピオカ、なぜかしっかりグリップ。


「え……なにここ? てか、これ夢? 異世界ってやつ?」


自分でも引くほど、王道テンプレな展開。しかも、目の前に現れたのは――


「はーい☆ 転生おめでとうございますぅ!」


 白ワンピにくるくる巻き髪、でっかい羽生えたお姉さん。顔のレベルは原宿系読モ。


「誰? もしかして……天使? てか女神?」


「ぴんぽーん☆ この世界の管理担当、女神のミティエルでーすっ♪」


 ……軽っ。ギャルより軽い神ってどうなの。


 


「えっとさ……ユメってば、なんでこんなとこ来たワケ?」


「いや、こっちが聞きたいんだけど! ウチ、まだTikTokの投稿予約残ってたし!」


「まあまあ☆ 異世界に来たからには、ちゃんとチートスキルとか授けるからさっ♪」


 女神が手をかざすと、空中に青白いウィンドウがポワンと出現。


 


――ステータス解析中――

名前:星川ユメ

職業:女子高生/ギャル(仮)

スキル:……該当なし


 


「え、なにこの表示。ちょ、スキル無しってどゆこと!? 盛れてなくない!?」


「うーん……珍しいタイプだね〜。今まで見たことないデータ構造してるかも? 一応、ノースキル判定、ってことで♪」


「や、やめて! その笑顔でバッサリくるのマジメンタルえぐるから!」


「大丈夫、たぶんそのへんで何とかなるっしょ! じゃ、グッドラック☆」


 


 光の渦に巻き込まれ、気づけばユメは一人、草原に放り出されていた。


 スキル無し、装備無し、方向感覚もほぼ無し。


「いやいや、ウチこれ……詰んでない? リスってる? マジ詰んでる?」


 でも。


 そんな中でも、胸元のタピオカカップはなぜか異世界仕様に進化していた。

 ストローの先が銀色に光ってるし、振ると中のゼリーがやけにモチモチしてる。


「……これ、アイテム? なんか謎すぎない?」


 とりあえず吸ってみた。


「ん、うまっ☆ え、てかMP回復してる? え、ウチMPあんの?」


 メニュー画面を開くと、MP:25/30 の表記が。意味わからんけど、なんか面白くなってきた。


「スキルなくても、ウチにはセンスがあるし? 異世界でも、盛ってこ☆」


 こうして、タピオカ片手に、ユメの異世界ギャルライフが始まった――。



 ……と思った、そのとき。


 草むらの向こうで「ギャアアアッ!」という悲鳴。


 振り返ると、青い髪の小さな女の子が、二頭のオオカミに追い詰められている。


「え、ムリムリムリ、ウチ戦えないしっ! ってかスキルないって言われたばっかじゃん! でも……」


 でも、なぜか足が勝手に動いていた。


「ちょ、そこのコ! こっち来て!!」


 ユメは、拾った棒切れを振り回しながら、女の子とオオカミの間に飛び出した。


 オオカミが飛びかかる――その瞬間。


 ユメの目に、オオカミの“動きの流れ”がスローモーションで見えた。

 呼吸、重心、殺気――まるで全部、色付きの矢印で表示されているかのように。


 


《スキル発動:空気読破》


 


「は? 今なんか聞こえた? てか……マジで見えてるんだけど!?」


 矢印を避けるように体を動かすと、オオカミの牙はユメの髪をかすめるだけで空振り。


「イケる……ウチ、これイケるかもっ!」


 そのまま棒を振り下ろすと、目の前のオオカミがヒュンと怯んで後退。

 女の子が逃げるスキを作れた。


「ありがとぉぉぉぉっ!」


 少女を助けたその瞬間、ユメのステータス画面が変化する。


――スキル獲得:空気読破(初期段階)

――効果:対象の感情・意図・攻撃パターンを色で可視化


 


「やっば……これ、チョー盛れてるんだけど……☆」


 だが、その後ろで――再び茂みがガサガサと揺れた。


「え、ウソ。まだいるの!?」


 オオカミよりも大きな影が、森の奥から、こっちに向かってゆっくりと――




⋆⸜ ⚔️ To be continued… ⚔️⸝⋆


「読んでくれてマジありがとっ☆ チョーうれしみ〜!」


もし、


・ユメ、応援したくなった!

・異世界ギャルライフ、気になる!

・次回が楽しみ!


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