第32話 奥若洛木(あおるうるおむう)

 独立国家に、異変が起きていた。人々が、次々と原因不明の病に倒れていったのだ。土岐が懸命に治療を試みるも、効果はなかった。

「これは、ただの病ではない…何者かの祟りだ…」

 土岐は、そう呟き、武蔵に助けを求めた。武蔵は、土岐の言葉に、只ならぬ気配を感じ、調査に乗り出した。

 調査の結果、武蔵は、病の原因が、死者の霊が鬼となった中国の妖怪、奥若洛木あおるうるおむうによるものだと突き止めた。奥若洛木は、人間に恨みを抱き、祟りを起こしていた。

 奥若洛木は、人間の目には見えず、犬にだけ見えるという。武蔵は、犬を連れ、奥若洛木の居場所を探した。

 やがて、武蔵は、奥若洛木を発見した。それは、人間の怨念が形となったような、禍々しい姿をしていた。

「貴様が、人々に祟りを起こしているのか!」

 武蔵は、奥若洛木に剣を構え、怒りを露わにした。奥若洛木は、不気味な笑みを浮かべ、武蔵に襲い掛かった。

 奥若洛木は、霊体であるため、通常の攻撃は通用しない。武蔵は、奥若洛木の攻撃を避けながら、どうすれば倒せるか考えた。

 その時、武蔵は、雷の魔法を思い出した。彼は、雷の力を剣に宿し、奥若洛木に雷撃を放った。

 雷は、霊体である奥若洛木に効果があった。奥若洛木は、雷撃を受け、苦しみ悶え始めた。

「貴様の怨念は、ここで断ち切る!」

 武蔵は、再び雷撃を放ち、奥若洛木を完全に消滅させた。奥若洛木が消滅すると同時に、人々の病も治まった。

 人々は、武蔵に感謝し、彼を英雄として称えた。しかし、武蔵は、静かにその場を立ち去り、再び一人での生活に戻った。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る