生と死の陌間に咲く華々。因って、詳細は伏す。

特殊激甚災害。それは政府の中央防災会議が定めた基準により指定され、防災省及び
災害派遣に当たる現場最前線の者達以外の
国民には秘匿される。

主に、神仏や御霊、魑魅魍魎による祟りや
呪いの類に指定されるものである。

この作品はまさに作者の集大成と呼んでも
決して過言ではないだろう。
 元来、幻想的な美しさを纏う掌編を多く
手掛けて来た作者の、その一つひとつが
具に盛り込まれた、仮想現実的な試みでも
ある。元より、作者の美しく妖しい掌編の
中に 不穏な既視感 を覚えた読者は
多い筈だ。

何故ならば、この神代の世界は現実とは
常に地続きである。

 生と死、此岸と彼岸、崇め奉る行為と
毀損する行為。
 それは常に表裏一体となって、時にその
陌間を越境しているのだ。

作者の美しく妖しい不穏な物語たちも
同様である。是非ともこの物語を読み
終えたなら『ケース』の 根源 にも是非
立ち寄られる事を。