クロックビートルN エージェントアーカイブ
ナナウミ
序章 過去星未来 その1
惑星ヨイチャグラの衛星マッシロ
かつてはヨイチャグラ内戦の外部支援ゲリラなどの足掛かりとなっていた星。
先の内戦は共和国の戦争景気の最後尾をヨイショしてただけあって軍事企業の媚売りもある種の戦争であった。
特にキサラギとムフェトゥオルンガルそしてミカドと重工と名のあるモノに仁義を切っている企業たちはこのヨイチャグラ内戦をカッコウのビジネスチャンスと勝手に解釈しもう一つの商売戦線を形作った歴史がある。
マッシロ旧企業独占区域、その最奥の崩壊した工場建屋のはじっこに二人の男が抜き足差し足ニンジャ足で侵入を開始した。
「「いきなりだが説明しよう。現在クロックビートルチームはキサラギコーポレーション傘下「キサラギAカンパニー」の依頼を受けて、同社のライバル社ムフェトゥオルンガル社の放棄された工場に潜入している。まぁ状況やお目当てはおいおいわかる……」」
「サツキぃ、疲れたよぉ、お水飲んでいい?」
少し背の小さい童顔の少年?が前を行く男に声を吐きかける、足がピクピクいっているが無理もない、ここまで結構歩いてきたのだ。
「「とりあえず説明しよう、……ナニ?説明が多い? しょうがないでしょう、始めのうちは君たちにアレコレ教えないと読むのやめるでしょう? まぁ聞きなさい。このちょっとアタマが弱そうで明らかに自分の可愛さに気が付いてるタイプのおぼっちゃんは「ジン」 クロックビートルチームの、えぇと……その、あぁまぁマスコットです。これといった特技はないけど優しい男の子ですよ。あ、今頼りないとか思いましたね? それはお客さんわかっていませんね……、彼超美人なお姉さんがいて実家は恐ろしい程の良家です。ま、今は関係ないですね、それでは」」
闇夜を恐れるように先を歩いていたもう一人の男が無言でカバンの中の水を差しだす。
ジンはそれを優しく受け取り喉をごくごくさせる。
ミカドのキャンプ用品はいい、水筒の水は例え一か月経ってもキンッキンに冷えていられるらしい、試したことはないが……。
「もう目的地だ、より警戒を強めるぞジン」
「……う、うんオッケー」
メガネをギラつかせるイカにも論理的な風貌の男はタブレットデヴァイスでマップを確認する。
このマップは組織が内紛時代の資料館からデータを吸い上げて独自の解釈と共に制作したものだ、したがって信憑性はたかが知れているので僕は背中に背負っているマッピングデヴァイスを駆使しこの工場を見つけたのだ。
「「またまた説明しますよー。……わかっていますよ、これ言い終わったら当分出てきませんよ。コホン、こっちのメガネの色男は「サツキ」、え?どこが色男だって? はいはい、私の勝手な評価です。 えぇと、クロックビートルチームの参謀です、まぁ勝手に彼が名乗ってるんですけど……。でもその知識や見識はそこらの幕僚やブレインを軽くあしらえますよ、結構サボり魔なのが惜しいとこですが……。はい説明終わりです、続きどうぞー」」
「こちらママント、シアター&インペリアル、聞こえていますか?」
二人の真空伝導無線から女性の高い声が鳴る、作戦司令室からの通信だ。
「はいシアターだ」
「インペリアルだよー」
二人は身を寄せ合い通信を聞く。
「そちらの策定地図によると作戦エリアは無人との事ですが、それは本当ですか?」
「本当だよー! けいびメカもいないよー!」
ジンは無線にデコピンをしながら抗議した、だがこの質問の真意は……
「ジン、これはある種のイヤミってやつだ、この女はもっと早く任務を進行しろと言っているんだ」
「えっ、そうなの?」
ジンは無線に顔を近づける、残念ながらカメラはついていない。
「わかってるなら結構です、それでは」
ガチャリン
切られた、あの女……
「くぅぅぅう……、あの女マジなんなんだ……。ほらジン、いくぞ」
「はいよー」
二人はひたすらに工場の奥に進んでいく。
途中、朽ちたメカの生産ラインがあり僕が廃品をバッグに詰めたり、ジンが壊れた警備システムのレーザーで遊んだりしたが10分かからず目的地に着いた。
中央制御室、埃だらけのだだっ広い空間だ。
おそらくお目当てのものは主任が座るであろうこの真ん中のコンピューターにある。
「よしジン、例のあれを」
「はいよ、いっておいでブルーコーラ」
ジンは服の袖から15センチほどの青い人型メカを出した。
トコトコと歩きブルーコーラは自分の頭をパカっと外しケーブルポートに刺した。
「データケンサクチュウ、データケンサクチュウ」
ブルーコーラはメカ声でそう告げた。
「こりゃ結構かかりそうだな……。おっジン、この花」
デスクの上に小さな鉢が置いてあり、花が咲いていた。
この鉢の真上だけ天井に穴が開いていて水や日光が行き届いているのだろう、今も月の光が美しくこの黄色い花を照らしている。
「あーっ! これ絶対カレン喜ぶよー、えへへ、持って帰ろー」
ジンは喜々としながらバッグに花を優しく押し込んだ。
「10パーセント」
「なぁジン、最近カレンとはどうなんだ?」
僕はデスクに寄りかかり腕を組みながらニヤついて聞いた。
「うーん……、別に何も……」
嘘だ嘘に決まってる。
このぼっちゃんは澄ました顔してるが……。
「二人仲良く格納庫でシケこんでるんだろう?白状しろよ」
こいつらはクロックビートルが宇宙軍内通ユニオンの傘下だった時からの師弟関係だ、アツアツな関係なんだ。
「いや普通にお昼寝してるだけだよスズメゲームしながら。カレンの戦闘機、シートふわふわでよく寝れるの」
あぁそうか……
ジンは体だけになったブルーコーラを腕時計デヴァイス経由で操作して付近のモノでアスレチックをしている。
「逆に、サツキはどうなの? 今でもムスビの事好き?」
幼げな少年は急に落ち着いた声で問うてきた。
その質問に僕は少し答えを詰まらせる。
「さぁな、僕は意外と嫉妬深いからね。ムスビの前の女だか男だかが相当に彼女の心を弄んでぐにゃんぐにゃんにしてくれたんだ。それをポイってされた僕にできることなんて……」
僕は無意識にメガネを直した、その手は寒さのせいか震えていた。
「そんなぽえみー?な事聞きたいんじゃない、好きか?嫌いか?、それだけだよ」
「30パーセント」
「ボクはカレンの事好きだよ、姉さんと同じくらい好き。んーでも姉さんとは結婚できないから……、カレンがお嫁さん!」
ジンは目を輝かせてブルーコーラとコンビネーショングッジョブポーズを決めた。
一応この男今年で24になる立派な大人だ、僕らの中では最年少だがいい大人だ。
「おいおい、いいかジン。この銀河はな、好きと嫌いだけじゃ括れないのさ。その間に色々な想いがあるんだ。確かにお前はその二つで乗り切れる度胸と愛嬌がある。でもな?僕を見ろ。こいつには人の痛みはおろか悲しみも喜びもわからないんだ、吊るし首だこんなやつ……」
タブレットデヴァイスの電源ボタンをカチカチさせながら自虐風に嘆いた。本心かどうかは問題ではない。
「50パーセント」
「ふーん。で、結局どっちなの?ボク言い訳は聞いてないよ?」
生まれの強さか、ジンには時々王の風格が纏わりつく。
今僕は単に友達と恋バナをしてるのではなく王に開口を命ぜられているような錯覚に陥ってしまった。
「僕は……、僕は……」
!!!
「ジン、周囲警戒!!」
かすかだが一瞬、マップに影が増えた……!?
「ジン、一応抜いておけ」
「当たらないのにぃ?」
「集中!」
ジンは慣れない手でホルスターからコンパクトレーザーショットガンを抜いた
僕は無線のスイッチを入れ、呼びかける
「シアターからママント、影が見えた、現時刻までの宙域の船の出入りを確認してくれ!」
「こちらママント、ライラック。レーダーを回したら辺りの共和国警備にバレますよ?」
彼女の言っていることは正しい、ヨイチャグラ周辺は名誉部隊ヤタイ隊をはじめ共和国の目が厳しい、このシーズンは尚更だ。
だが、この感触は共和国の接近じゃない、そこまでのモノではないが、だからこそ得体がしれない。
「いいから回せライラック、最悪僕たちは帰れなくなるぞ!」
「……、プロミスター!」
「あいよ!」
ブゥゥウウン
無線越しにママントが起動する音が聞こえた、ここからレーダーが回るのにあと10秒……!
マップを確認、もうすでに影は工場の中に入ってきている。
鮮明に見えてきた、生命体1、メカが6、おそらく警備会社か?
その時無線からキンキン声が聞こえた!
「照合完了!5分前、キサラギ警備保障ヨイチャグラ所属別働警備船、数1! ……なぜキサラギが……?雇い主なのに……」
「違うぞムスビ、奴らは一次組織、僕らのクライアントは二次の枝だ!」
それが意味するのは
「企業内紛だ……」
「企業内紛ですか……」
二人は即時に理解した、頭がいいとこういう時につらい
「「それでは説明しようか、今回ばかりは為になるはずだ。今回クロックビートルはキサラギコーポレーションという宇宙事業から冷凍食品まで幅広く手掛けているサイジョウ領でも有数の大手企業、の中のキサラギアーミーという子会社の調整役を名乗る方からの依頼を受けました。依頼内容は放棄されたムフェトゥオルンガル社の施設から旧式兵器の管制データをサルベージすること。つまり企業スパイのアウトソーシングですね。ちょっと進めるか」」
「ししししし、侵入者……、オ、オレの当番の時にだけ、侵入者!!! オレ一人なのにィィ!! ウゥゥゥウ!!!!」
真っ白な髪に髭面、キサラギ警備の制服をだいぶ着崩した様子のおかしい男。
なんだアイツ? アイスでもやってるのか?
「サツキぃ……、なんかあのオジサン怖いよ……」
「「まあここまでは私たちも秘密結社でエージェントですからよくやる仕事です。でも問題はここから先だったんですよ。この親キサラギと子キサラギの間では今いざこざが絶えないらしいです、なんでも親キサラギの方がムフェトゥオルンガルとホバーカー事業で懇意になってきたらしく近々新たなエンジンが世に出されるとか。まあ進めましょう」」
「80パーセント」
「遅くないか!?」
「おおおお、おいそこにいる奴ら! い、今から三つ数える、それまでに銃捨てて出てこい!!」
警備メカの照準のレーザーポイントが隠れているデスクの上を飛び回る!
おそらく殺傷モードではないがかなり強いスタンモードなハズだ、当たったら一発耐えられるかも怪しい!
「さん!」
「どどどどどうする!?サツキ!!」
しまったジンが完璧に委縮している、戦闘があるって聞かされてたらムスビやカレンを連れてきたのに……!
だが元より答えは決まってる!
「にぃ!」
「僕らはカタギじゃない縁恒久管理機構のエージェントだ! そうだろインペリアル!」
「おおおおおお、おう! そうだししし、シアター!!!」
思いっきり肩を叩いたが彼の震えが勝っている……
「大丈夫、頭は出さなくていい、銃身だけ出してショットガンの引き金を適当に引きまくれ! イカクシャゲキってやつだ!」
軽く頭を撫でた、おまじないだ!
「いち!」
「「まぁとにかく上の仲良しに下はおとなしく従えないんですよ。件のエンジンはいずれムフェトゥオルンガルとキサラギアーミーの兵器開発競争に持ち込まれキサラギの旗色を悪くする可能性がありますからね。その時親キサラギは子キサラギをあっさり切り捨てると思います、だってホバーカーと軍用兵器、今の共和国の情勢を見ればどちらが需要かなんて明白ですからね」」
戦闘開始だ!!
パリィィィィイン
花の咲いていた鉢がデスクの左側に吹っ飛び割れた!
「今だ!」
僕は音を確認した瞬間、思いっきり地面を蹴り上げ右側に飛び出した!!
走りながら奴らの方向に銃を向ける!!
「やっぱりかかったッ! こっちだよォ!!」
ほんの一瞬で勝負は決まるッ!
この一丁400万パブリックは下らない帝複着式熱線銃零式!一瞬の照射で十人までの敵をマルチロックし一気に貫く、現代の銃撃戦を過去の物とする神の罰!
スパパパパパパン!!!
「砕け散れ!社畜!!」
パキャン!
……惜しいのは、十発に一発はカスみたいな威力のハズレを発射しちゃうとこだな。
そして今回はそのハズレを一番当てちゃいけないとこに当てやがった……
「ううううう、にいちゃん、よくキザって言われねぇかァ?」
スパァン!!
「あっ……!」
左肩が一気に熱くなる、そして全身に悪寒が走った……
「サツキ!」
無線から大好きな声が聞こえてきた……、いやいうほどか……。
やばい……、目が見えな……
バシャァァン!
一瞬のうち、肩の熱気が吹き飛び意識が帰ってきた!
……なんだ?
ジンが水筒の水をぶっかけに飛び込んできてくれたんだ!
倒れる体をジンは優しく頭を抱えゆっくり床に寝かせた。
僅か数秒の出来事だ……。
「ま、ずい、ジン……」
だが後ろにはあの不気味な男が次弾を撃つ寸前まで来ている
助けてもらって言いたくないが無茶しやがって!!
その時ジンと目があった!
笑っている……
刹那、その目は一気に暗くなり殺意へと変わった……
スタァァァアン
地面を踏み抜く音が聞こえた!
ジン、早い!?
一気に体をひねり、標的の首元に喰らいついた!
強化骨格スーツでも着ているのか?
大男を勢いのまま引き倒す!そしてそのままショットガンを顔面に押し付けた!
「動くな……!動くと当たらないッ!当たらないよ!!!」
絞り出すような声が廃工場に響く
「やめ、やややややめ……」
ジンはなお強く銃口を押し付ける……。
止めないとまずいな……、でも体がやっぱ動かない……。
「お二人とも、もう充分です!」
上空から大音量で聞きなれた声がした
天井の穴の開いている部分から隙間を縫うようにエレベータータラップが降りてきて一人の男が足早に駆けつける。
彼はジンを手荒な風に押しのけ、倒れている男に跪き手を差し伸べた。
「警備員様、お怪我はありませんか?」
どこか艶めかしい淫靡な香りをかすませる……、いや誇張表現だな。
とにかくこの男こそが……、
「ご挨拶が遅れました、わたくしこの盗賊団「ミラージュ」の音頭を取らせていただいております、「カガミ」と申します。この度はあなた様及びあなた様が属される企業様の大切な資産を略奪しようなんていう不埒な部下が自棄をおこしまして……
コイツ……全部嘘だ……、またクロックビートルお得意のエチュードか……。
どこか鼻につく彼はひたすらに右から左に抜けていくような御託を並べ続ける。
「「はいではこの隙にこちらの皆様にもご挨拶を……。初めまして、わたくし現時点でのクロックビートルシリーズ主人公を務めさせていただきます、「カコボシミライ」という者です。恐れ多いことに縁恒久管理機構サイジョウ支部汎用縁作戦群、エージェントチーム「クロックビートル」のユニオンリーダーを任されています。えっリーダーは分かるけど主人公は流石にサツキだろ?ですって?……それはお客様、少し勘違いをされていますね。サツキには「コレ」ができません、そう「コレ」ですよ。今こうしてあなたに話しかけている「コレ」です。これも私が主人公になるにあたって……いや、どっちだろうか……、まぁいいでしょうとにかく、主人公である私に「縁と光」がもたらしたギフトなのです。まぁもっとメタい話すると何処かの誰かさんがこの作品導入めちゃくちゃ長いしSF興味ない人は離脱者多数だろうなって思って実装したリブート仕様のシステムなんだけどね……あぁサッム。おっと言葉遣い言葉遣い、まぁとにかくですね紆余曲折あってこの世界も銀河も産まれたよって話なんでs……
「おいミラ……、カガミの。いつまで時計見て喋ってるんだ!」
だんだん体が戻ってきた僕はサツキに忍び寄り、彼の輝く石で出来た懐中時計を取り上げる
「おぉっと……まぁいいでしょう。とにかくこの二人には私の重い罰を与えておきます、そうですね……、「ヨイチャグラ上空からエアロックで射出、その後祭りの惑星を彩る花火となる罰」に挑ませましょう」
!!!
ここで僕らはミライが送った一瞬のサインを見逃さなかった!
「いやぁ、能無しで、知恵遅れで、強情な、いやしんぼですよ」
「どうかカガミ、それだけは許してくれ! まだメントーナの妹に牧場を買ってやれてねぇんだ!」
「そうです! オレもまだ花嫁オーディションの人集めに金がいるんです!」
「どうかお許しを」
「どうかお慈悲を」
クロックビートル劇場の取り決めその1、誰かが手を合わせたら通しの合図
今回は「い」やぁ、「の」うなしで、「ち」えおくれで、「ご」うじょうな、「い」やしんぼ。
つまり「命乞い」の意だ!
これを通しをやるのとやらないのじゃ色々違うらしい、ミライ曰く……。
「そうですねぇでもそれではケジメとやらがつきません……。うーむ……、ですがこの二人が私のかわいい子分であることも変わりません。仕方ない、どうか今回はこれで……」
そう言うとミライは予定調和のようにマネースティックを取り出した。
「こちらには共和国パブリックで200万入れてあります、おそらくあなた様の前期後期の賞与とそうかわらない額かと、こちらを受け取っていただいてお互い気持ちよくここを去りましょう、ね?」
スパッ
こいつやったな! 肩を組みながら相手の背後にある端末に刺さったブルーコーラの頭を、サイレントフィンガーレーザーで狙撃して証拠隠滅しやがった!
「あっ、ボクのブルーコーラ……」
「ダマレっ」
「金もおもちゃも私達の銀河では巡りものですよ、またいつか、ね?」
ミライは少し切なく、未来と過去を見据え、そして悲しみを織り交ぜて二人に微笑んだ。
そうだ、僕らはミライのこの表情に負けてエージェントになったのだ、砕け盃も今はただの器か……。
「お二方帰りますよ。ごきげんよう、警備員様」
僕とジンはエレベータータラップに飛び乗った。
フッ、任務は失敗か……。加えて賄賂にいくらか取られた……、我がチームは火の車だな。
「うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」
!!!
待て大人しいと思ったらまさか!?
「サツキ、真光石!!」
いや、隣のミライも同じことを感じている!
カバンから取り上げたミライの懐中時計を引っ張り出す!
これは!!!
「おい嘘だろ!? てっきりアイス中毒でイッてるんだと」
時計が真っ赤に光っている……!
「アイス吸ってるんですか!? その情報もっと早く欲しかったですねぇ!!」
ミライは何か汚いものを見るような目で男を睨みつける!
「確証は無かった!」
「どちらも同じこと! 総員、再警戒、過剰共鳴者!」
「どうしよミライ! 重症っぽいよ!?」
下にいる男性陣は一気に集中モードに入った
船の中でも
「ムスビ、チー主任に連絡しろ! あの女がいねぇと、ミライじゃ多分何もできない!」
「了解! カレンはすぐに保管してある真光石の容器をロックを確認してきてください!」
ムスビはブリッジの中央にある投影スクリーンにコードを入れた
即座に義手のロゴが浮かび上がり通信がつながる
「こちらチー主任、どうした?」
「こちらクロックビートル、惑星ヨイチャグラの衛星マッシロにて任務執行中、過剰共鳴者と遭遇」
「程度は?」
「赤らしいです、恐らくかなりの重症かと」
「…………、私が出よう」
「助かります、主任!」
「「かつて世界というのは一つの星を指していた、しかし光を究めし愚か者たちにより世界は銀河となった。その光湛えし石と縁を巡り、銀河は再び世界となった。そうその繰り返し、この循環を真光の始祖「神剣大樹」はこう名付けたのだ「クロックビートル」と」」
コアトラック 「闘う者たち」
「途切れて続く」
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