■ シナリオ
第2話
(※ ヒロインのセリフは省略してありますので、ご想像でご自由に補完いただければです)
// SE: 遠くで聞こえるオオカミの遠吠え
// SE: 室内に吹き込んでくる風の音
紅の伯爵「おやおや、起こしてしまいましたか」
紅の伯爵「おはようございます。といってもまだ夜中ですが」
紅の伯爵「あまりにも気持ちよさそうに眠っていたものですから……つい頬をなでてしまいました」
紅の伯爵「それにしてもすべらかな頬だ」
紅の伯爵「貴女が目覚めなければもうしばらくこうしていたかったのですが……」
紅の伯爵「ああ、わたくしが人間風情に対してこんな感情を抱くのは何百年ぶりでしょうか」
紫の伯爵「起きたのか? 起きたんだったらさっさといただくものいただいちゃおうぜ」
紅の伯爵「ん? なんですか?」
紅の伯爵「ええ、ふたりいますよ。貴女を含めれば3人です」
紅の伯爵「しっ! 大声は出さないでください」
紅の伯爵「どうして貴女の寝室に男性ふたりが侵入しているのか、そう言いたげですね」
紅の伯爵「……ふふふ、驚くのも無理はありません」
紫の伯爵「もう、兄貴はまどろっこしいんだよ」
紫の伯爵「俺に代わってよ」
紫の伯爵「どれどれ……」
紫の伯爵「ってこの娘、まだちょっと寝ぼけてるじゃん」
紫の伯爵「それにしても綺麗なうなじだな」
紫の伯爵「そんなに怯えた顔するなよ。なんだよ。ちょっと撫でただけだろ」
紫の伯爵「それに耳もいい形してる。俺好みだ。このまぁるい耳たぶの……」
紫の伯爵「ふーっ」
紫の伯爵「この娘、今びくってなった、ははは」
紫の伯爵「……まあいいや」
紫の伯爵「寝起きで頭まわってないところ、悪いんだけどさ」
紫の伯爵「俺と兄貴は吸血鬼なわけ。このシチュエーションと俺らの服見てくれればだいたい想像つくと思うけど」
紫の伯爵「いちおこれ、正装だから、吸血鬼の」
紫の伯爵「で、正装してなにしに来たかって言うと……」
紫の伯爵「そうそう! よくわかったね!」
紫の伯爵「君の血をちょーっとわけて欲しいんだよね」
紫の伯爵「……だから、そんな怯えた顔すんなって」
紫の伯爵「しょーがねーだろ、可愛く生まれてきちゃったんだから」
紫の伯爵「誰が? 君が……って、言わせんなよ!」
紅の伯爵「お嬢さん、弟の言うとおりです」
紅の伯爵「残念ですが諦めてください」
紅の伯爵「吸血鬼に血を奪われるのは、美しく生まれついた女性の定めなのです」
紫の伯爵「でさ、それだけだとあれじゃん? 面白くないっていうか」
紅の伯爵「ですから貴女に選ばせて差し上げようと。どちらに血を差し出したいか」
紫の伯爵「兄貴か? それとも俺か?」
紫の伯爵「……なんだよ、めんどくさいこと言うなよ? 考えなくっていいんだよ。奪われた後のことなんか」
紅の伯爵「ええ、事後のことは考えないのがよろしいかと」
紫の伯爵「……そーゆーこと。じゃ……」
紫の伯爵「なんだよ、まだあんのかよ」
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