おせちを振る舞う理由

 おせち料理を振る舞った。小さな重箱に伊達巻や黒豆、紅白なます、かまぼこ、あと君が好きな筑前煮を入れた。君は「いただきます」と筑前煮の里芋を口に運ぶ。


「おいしい?」


 ってたずねたらうなずく君。


「毎年作ってるの?」


 ううん、ただの気まぐれ。生きたくないと泣く君に作りたくなっちゃっただけ。




※星々主催の「冬の星々140字小説コンテスト」に応募しました。課題の文字「重」を使った作品であることが条件。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る