私、好きな百合漫画の主人公に転生しちゃった!
ぎゅうどん
百合漫画好き少女、好きな百合漫画の主人公になる!
第一話 私、百合漫画の主人公に転生しちゃった!
「はぁぁ…最高…今まで生きててよかった…」
私、青依晴南、15歳、女子高生にはこの世で一番好きなものがあります。それは女の子同士の深い絆、愛をテーマにした百合作品です。
その中でも特に好きな作品があって、漫画家にゃんにゃん先生が描く『女しか居ない世界で、どうやら私は女神に選ばれた5人を攻略して、恋人にしないとならないらしい。』という作品です。この作品はタイトル通り、偶然、女しか居ない世界に迷い込んだ、主人公の少女の愛田雛、15歳がその世界を管理する女神から「あなたが元居た世界に帰りたいなら、私が指定する5人の女の人を攻略して、恋人になって、ハーレムを作ってみせなさい。」と試練を与えられます。
戸惑いながらも試練を達成して、元いた世界に帰るために頑張る主人公ですが
同性との恋愛どころか、恋すらしたことがない主人公はまるで駄目駄目、最初の人すら攻略するのも一苦労でした。
でも諦めずに頑張って、等々、さっき見た最新話で目標の5人目を攻略したのです。
そしていよいよ次回が最終話、自分の元いた世界に帰るのか、それとも付き合っている恋人達のためにこのまま暮らすのか、迫られる選択肢、果たして主人公の答えは…?って所で終わったんです!好きな作品が完結するのは寂しいけど、でも楽しみすぎる!早く続きが見たいです!
そんな興奮を必死に抑えながら、スマホを閉じると、私はいつの間にか眠りについていました…
《いい加減に起きなさい!》
んっ…なんだろう…?ママかな…?
「ふわぁぁ…もう少しでしょう…」
あれっ…気のせいかな…?自分の声じゃないみたい…?
「もう駄目よ!今、何時だと思ってるの!
今日も遅刻しちゃうわよ!」
「あれっ…えっ!?」
寝ぼけててよく見てなかったけど、この人、ママじゃない!?
でもどこかで見たことあるような…?
「だっ誰ですか…?」
「はぁ、寝ぼけてるのね?
早く下に降りてきて、顔洗ってきなさい?雛?」
「雛…?はっ!まさか!」
私は慌てて、一階の洗面台に向いました!
「あわわわ、思った通り…」
鏡で自分の姿を見て、自分が生まれて史上、最大ぐらいに驚きました!
「私、あの漫画の主人公の愛田雛になってるー!」
これは夢なのかな…?それを確かめるべく私は恐る恐る、自分の体を調べてみることした。
「わぁ、胸、大きい、確かに雛は大きいはずだけど…
貧乳だった私には正直同じ女として羨ましい…ってそうじゃないでしょう!」
私は状況を整理するために一度、深呼吸した、そしてある答えに辿り着きました。
「つまりこれはあれだよね…漫画の世界の主人公に転生しちゃったみたいな…間違いない…」
しかもですが今は第一話の始まりで、ここから学校に遅刻しそうになった主人公は慌てて準備して家を出て普段通らない近道をしたら、あの世界に迷い込んだという流れだったはず…
「まさかこんなことが現実で、しかも私の身に起こるなんて…」
「おねぇちゃん、何もしないなら、邪魔、どいてくれる?」
「あっ!あなたは確か!」
「なっ何?」
うわぁぁ!感動です!
お母さんと同じくあの第一話にしか出てきてなかった主人公の可愛い妹の琴梨ちゃんです!たしか中学生だったはず!
「実物だとさらに可愛い…」
「今日のおねぇちゃん、涎たらしてるし…なんかキモいんだけど…?」
「はっ!ごめんなさい!
妹をそんな目で見ちゃ駄目だよね!あっでもこの場合って、姉妹百合になるのか…」
「さっきから何言ってるの…?いいからどいてよ?」
「あっうん!」
「雛〜!学校に遅刻しちゃうって言ってるでしょ〜!」
「あっはいー!わかってますー!」
「ぷはぁ、何で敬語?」
顔をタオルで拭きながら尋ねられました。
「あはは、それより琴梨ちゃ…いいや琴梨は慌てなくていいの?学校遅刻しちゃうんじゃない?」
「何言ってんの?今日は参観日の振替休日で休みだって、昨日、話したじゃん?」
「あっえっとそうだったね!」
「意味わかんない…」
彼女は洗った顔を拭き終わると居間に向かいました。
「あんなに性格がきつい子だったとは…
第一話しか出てないから、想像も出来なかったな…?」
「雛〜!」
「とにかく今は考えるのは後にしよう!急がなくちゃ!」
私は慌てて顔を洗い歯を磨いて、さっき起きた主人公の雛の部屋で服を着替えることにしました!
「流石は主人公、持ってる下着も可愛いなぁ。前世の頃の私は地味なタイプだったからこんな下着もってなかったよ…?」
着替えるために裸になった、すると鏡に映る今の自分の美しい姿に同性ながら思わず息を飲んだ…
「綺麗…」
「雛〜!まだ着替え終わらないの〜?」
「はっ!もうすぐ着替え終わりますー!」
私はそのまま制服を着たら、再び一階の洗面台に戻り、鏡を見ながら髪をクシでとかして、テーブルに用意してあった朝食の牛乳を飲み干し食パンを口にくわえたら玄関に急ぎました!
「それじゃあ!行ってきます!」
「はいはい、気をつけてね。」
雛は家を出た。
「やれやれ、やっとおねえちゃん、行ったみたいだね?」
「今日は本当にギリギリよ、間に合うといいんだけど?」
「どうせ間に合わなくて、いつもみたいに先生に叱られるんじゃない?」
「多分ね。」
「それよりおねえちゃん、今日は髪型、ポニーテールじゃなかったね?
ヘアピンもつけなかったみたいだし、どんなに慌てても、その2つだけはしていくはずなのに、喋り方といい、寝てる間に頭でも打ったのかな?」
「きっとそれほど慌ててたのよ。」
「そうなのかな?」
「あー!!」
「どっどうしたの?お母さん?」
「雛ったら、お弁当忘れて行っちゃってる…」
「何だ、そんなことか、今から私がおねえちゃんに届けに行ってあげるよ。」
「間に合うかしら?」
「おねえちゃん、運動音痴で、私より走るのずっと遅いから、絶対に間に合うって。
それに通学路とか同じだから、どこ歩いてるか、わかるし。」
「じゃあ、お願いしようかしら。」
「うん、行ってくるね。」
琴梨はにお弁当を届けるために外を出た。
一方、当の本人である雛(晴南)というと…
「ハァハァ…本当に主人公の雛って…
運動音痴というか運動不足なんだ…
前世の頃の私も運動は苦手だったけどそれ以上だよ…そりゃ近道もしたくなるよね…」
でもここからが本当の物語の始まりです。
私があの漫画の主人公に転生した以上、あの近道をしてここじゃない、あの世界へ行かなくちゃ。
これはある意味、使命感です。まぁ、あと漫画のファンとして行ってみたい気持ちもありますけど…
「決心もついた所で行こう!」
私はあの主人公が近道だと通っていた人気のない路地裏に入りました!
「いた!でも何であんな所に…?」
琴梨も後を追って路地裏に入った。
「いよいよ、この先を進んだらあの世界に…」
「おねえちゃんー!」
「えっ!今の声って!かっ勘違いだよね…」
「おねえちゃんー!」
「やっぱり勘違いじゃない!?」
「もう!おねえちゃん!お弁当を忘れて…わっ!」
「きゃっ!?」
琴梨ちゃんが足を躓いて、勢いよく向かってきてぶつかり、そしてそのまま一緒にあの世界の入口に吸い込まれた!
「どうしよう!琴梨ちゃんまで一緒に!」
「何これー!きゃあああー!」
「そんなこと言ってる場合じゃない!
琴梨ちゃんー!私の手を掴んでー!」
「うっうん…?」
異次元の空間の中、手を繋いだ瞬間、眩しい光に包まれた。
「きゃっ!」
「多分、もうすぐだから!」
「えっ…?もうすぐ…?」
そして二人は出口に着いた。
「一体、何が起きたの…?」
「もう目を開けて平気だよ。」
「えっ…?わかった…?」
するとそこはどこかの都会の交差点だった!
「えっ!?ここはどこ!?
私達は確か、家の近所の路地裏にいたはずだよね!?」
「着いた、着いたんだ…」
「えっ?」
「きゃー!私の憧れていた聖地とも呼べる!
あの世界に私は来たんだぁぁー!」
「なっ何、変なテンションで叫んだりして!?
おねぇちゃん、頭でも打った!?」
「あっ!嬉しすぎてすっかり忘れてた!あなたをこの世界に連れてきちゃってたんだった!」
「この世界に連れてきちゃった…?何を言ってるの…?」
「周りを見て、感じることはない?」
「周りを見て?さっきから女の人しか居ないように見えるような?
ってあれっ?あれっ?というかあっちもこっちも本当に女の人しか居ない!?」
「その通り、ここは女の人しかいない世界なんだよ!」
「あはは、わかった、これ夢だよね…?
きっと、頬をつねれば、痛ててぇ、夢じゃない…?」
「混乱させてるよね、ごめんね、琴梨ちゃん。」
「そのちゃん呼びやめてくれるかな?
それにその喋り方、なんかおねぇちゃんらしくないよ?」
「それには理由があるの。」
「理由…?」
「実は私は愛田雛じゃないんだ、名前は青依晴南。
あなた達の世界とは違う世界に生きてた
なんでそうなったのか今の所わからないけど
朝、起きたらこの子になってたんだ。」
「えっ…?それってつまり…?」
「私は君のお姉さんに転生しちゃったみたい。」
「えっーー!?」
「そういわけだから、琴梨ちゃんこれからよろしくお願いするね。」
「なっなっ、よろしく出来るかーい!!」
主人公の妹の琴梨ちゃんを巻き込んで
私の愛田雛としての物語が幕を開けました!
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