第6話 来訪者

昭和エリアはすべてが混雑としていて、かつての古き街並みが再現されている。




利用者は一番多いと聞くが、管理がそれほど行き届いておらず。俺のようなこの世界に入り浸ってる奴らが、勝手に空き部屋を自分の部屋として使っているケースがある。




もっとも俺もその話をきいて、自分の部屋を持った口だ。




ビルが立ち並ぶ市街地エリアから、離れたところにある下町エリア。




そこにあったかつての自動車工場が丁度空いていたため、俺はここを占領する形で自分の家とした。




「整備工場だから整備できればいいのにな」




そういいながら、俺はバイクを端末につないでパソコンのキーボードをたたいた。




電子、いわばプログラムでできたバイク。そこにいろいろモッドやら自作のプログラムを詰んだため、きちんと起動するかチェックが必要なのだ。




「やっぱりエアダッシュは使い勝手がいいな、ダッシュブレードは使いどころにこまる」




モッドは誰かの作ったものから、自分で作ったプログラム。色々ある。




「やっぱり広域バリアはプログラムが安定しないな……なんでなんだろ」




モッドには相性があると、昔のゲーマーたちは言っていた。その相性は今も健在のようで、プログラムでもすぐマッチするものと、合わないでなかなか発動しないものとに分かれた。




「よっと」




バイクにまたがり、コマンドを確かめるように細工したハンドルを操作する。




「――失礼」


「ん?」




ガレージの前にいつの間にか、スーツの男性が立っていた。




スーツに身を包み、サングラスをかける中年に見える男性がそこにいた。どうやら、自動車を修理して欲しいという雰囲気ではない。




「うちは閉店してるんで、要件があればよそへ――」


「――ハヤブサ」


「!」




やり過ごそうとすると、男性の口から俺のあだ名がでる。




「民間のウイルスハンターがこんな少年だとはな――」


「あんた警察かい?――あいにく現行犯じゃない、出直してくるんだな」




こんなところで捕まるつもりはないが、走っていて捕まるヘマもするつもりはない。


捕まえられるなら、捕まえて見ろといったところだ。




「いや、スカウトマンさ」


「?」




男性がそういうと、俺は顔を上げてもう一度そいつを見た。




「岡田隼人、ウイルスと積極的に戦うバイカー……ウイルスバスターよりも高いスコアで奴らを倒してる」


「あんた、何者だ?」




どうやら俺の思った以上に個人情報はそちらに知れ渡っているようだ。




「管理者側だ、一緒に来てもらいたい——時間はあるか?」




拒否権はなさそうなので、やれやれといった具合に俺は立ち上がる。




「バイクは必要かい?」


「好きにするといい」




お言葉に甘えて俺はバイクにまたがり、スカウトマンと名乗った男の誘導に従った。

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