裏山でクワガタを追いかけていた少年レンと少女ハナ。
彼らの前に現れたのは、突如現れた女神と謎の光――
そして託されたのは、世界を救う「神託」だった。
ただし、その神託はラクガキと化し、
肝心の本人たちは『自分が勇者と聖女』だとは微塵も思っていない。
「神託を本物の英雄に届けなきゃ!」
そう勘違いした二人は、意味不明な地図と子供並みの知能で、大冒険へと旅立った。
一方そのころ、世界は終わりかけていた。
魔王の軍勢が迫り、滅亡寸前の辺境では人々が命をかけて抗っている。
かつての英雄ヘオイヤ、孤児寮の仲間たち。
誰もが必死に足掻くなかで、あまりにもズレた二人の奇跡だけが、まだ起きていない。
これは、自分を農民だと思い込んでいる勇者と聖女が、
なぜか人類を救ってしまうまでの、壮大でずっとポンコツな物語。