さよなら、友達以上、恋人未満。

ずっと、彼のことが、好きだった。

人生の中で、一番過ごした時間が長い彼のことを。

彼とは、3歳の頃に初めて出会ってから、19になる今日まで小中高大、ずーっと同じ時間を過ごしてきた。

　彼は本当にモテる。ずーっとラブレターを彼女がいたことだってあった。当然だなあって思った。けれども、その度に、私の心はずきずきと痛んで、「もし、このままその子と結婚したらどうしよう……」って夜中まで泣き続けていた。

　でも、私は、ずっとこの「友達以上恋人未満」の関係を続けていた。だって、彼みたいにすごい人じゃないから。この繋がりが切れたら、告白してそれっきり、だったら、彼との関係はそれまでかもしれない、って思って。

　だから、彼への想いは、死ぬまで胸に秘めておこうって決意していた。小学生の頃から、ずっと。

　けれどもその決意は、私の19歳の夏に崩れた。講義が終わった後、突然呼び出されて。免許を取りたての彼の車に乗って私たちが小さい頃によく遊んでいた海に連れてかれた。

「あのさ、俺さ、お前のことが、好きなんだ」

　彼からそんなことを言われた。見たこともない真面目な表情で。ずっと好きだった、って言いたかったのに、言えないまま、涙がぼろぼろと零れ落ちる。一番不細工な顔を見せている。涙でぐちゃぐちゃになった声で「わたしも」と言うことしかできなかった。

彼が嬉しそうな笑い声をあげて、私のことを抱きしめる。

友達以上、恋人未満、から今日でさよなら。