召喚された聖女は厚化粧のゴリラだった件
音無 留花
第1話 聖女召喚
町をぶらついていたリーバーという男は日々の食料を手に入れるため、単発の仕事がないかと城下町をぶらついていた。
そこに馬車で城下町を視察していた王様に声をかけられた。
「そこの青年、魔王を倒す勇者として王宮で働かないか?報酬は毎月の路銀と綺麗な奥さんじゃが」
リーバーは魔王を倒す旅で死ぬかもしれないと頭の中で考えたが勇者になり、毎月王宮から旅の路銀が収入として入るならと二つ返事で承諾する。
王様は彼の返事に大層喜び、王宮の召喚室まで丁寧にリーバーを案内した。
リーバーを魔法陣の外側に座らせ、王様が自らの魔力を召喚の魔法陣に注ぎ、呪文を唱える。
魔法陣が光輝く。
リーバーはその中から聖女と呼ばれる美女が出てくると思いきや……つけまつ毛が太く、血のように真っ赤な口紅、濃すぎる紫のアイライナーをしており、ゴワゴワした体毛に覆われた筋肉質のゴリラが出てきた。
しかし、王様達はものすごい美女が聖女として出てきたと喜んでいる。
リーバーは不安になり、王様に国内で随一の美人と噂される王妃を呼んでもらった。
王妃も聖女を一目見たいと思っており、王様に呼ばれ、召喚室に入ってきた。
彼女はリーバーが見とれるほど顔立ちも所作も美しく、彼は王様の趣味を疑うことはなくなった。
他の護衛の兵士達も厚化粧のゴリラを美人だ、聖女様だと崇めている。
王様が「綺麗な奥さんは聖女のことじゃよ」と言うとリーバーはどう見ても厚化粧なゴリラを嫁にしなきゃいけないことに絶望したが、勇者としての収入に目が眩んで彼女?と結婚することにした。
彼は聖女に名前を聞いたが聖女は「ウホ」としか答えなかったが、王様は「素晴らしいお名前だ」と称賛している。
リーバーが王様に聖女の名前を聞くと「聖女様の名前はアイリス」だと言う。
しかし、リーバーにはアイリスの言葉は「ウホ」としか聞こえないし、通訳として護衛の1人が旅に着いてくることになった。
王宮では勇者の旅立ちだとして豪華な晩餐会が開かれた。
翌日、王様はリーバーに勇者になった報酬として国境を越えるための書類と馬車と旅には十分すぎる路銀を用意していた。
勇者(仮)、聖女のゴリラ、護衛1人の3人旅が始まった。
しかし、馬車に乗っている時、リーバーに朗報が1つだけあった。
彼には相変わらず聖女の言葉はウホとしか聞こえないが護衛の兵士の言葉で恋バナに花を咲かせていることが分かる。
リーバーは護衛の兵士に顔を見せてと頼むと彼女は勇者の頼みだ。仕方なしと兜を取る。
彼女は王妃によく似た顔立ちですごく整っていた。
彼が彼女に見とれていると「私はもうまもなく五十路になるし、夫も成人した子供も居る」と撃沈してしまった上に聖女に焼きもちを焼かれてしまった。
馬車が街道の真ん中に差し掛かると盗賊達に襲われたが聖女が持ち前の腕力で盗賊達を一蹴した。
リーバーは聖女ってこんなパワー系なの?と疑問に思ったが今のところは無事?に旅が進んでいく。
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