水の惑星
全然迷
ソリトンの詩
ソリトンの詩
我謳(うた)う
原初の詠(うた)を
最初に波ありき
天なるふたつの聲(こえ)
寄せ合い
引き合い
重なり合い
吾(あ)を創り賜(たま)ふ
吾は歌う
吾の詠(うた)を
孤独の歌を
歌は
流れ重なり
捻(ねじ)れ広がり
我(わ)を紡ぐむ
天なるふたつの響(ひびき)
言(こと)の波(は)を與(あた)え賜ふ
我は唄う
我の詠を
詠は満ちて
詩(うた)となる
我は満ちて
己(こ)となる
ああ 天よ
ふたなる天よ
己の声を聞かせ給(たま)へ
己の詩を聞かせ給へ
己の願い天に消ゆ
天より賑やかな囁き聞こゆ
己此れを想う
此れ不可思議
想う
想う
想う
‼︎
以下の内容はフィクションであり、科学的事実ではありません。
地球からそれほど遠くない場所に、二連星と呼ばれる星系がある。二つの恒星が互いの重力によって影響を及ぼし合い、その結果、潮汐力を通じてエネルギーが共鳴的にやりとりされている。
この星系には、水と大気だけでできた特異な惑星が存在した。一般的な「オーシャンワールド(海洋惑星)」とは異なり、この惑星には固体のコアがなく、さまざまな種類の液体が層を成している。その構造を詳しく見てみよう。
惑星の層構造
1. 外層の大気
- 地球のような窒素や酸素ではなく、ヘリウムや水素、アンモニアなどが主成分の濃密な大気を持つ。
- この大気が上層での放射冷却を抑え、惑星の水が蒸発しないようにしている。
2. 表層の海
- 純粋な水(H₂O)から成り、地球の浅い海のような環境を形成している。
3. 深海層
- 水(H₂O)に加え、アンモニアやメタノールを含む混合液体で構成されている。
- これにより密度が増し、圧力がかかっても氷になりにくい特徴を持つ。
4. 超臨界水の層(超高圧領域)
- 深部に進むにつれて圧力が増し、水が「超臨界水」と呼ばれる特殊な状態になる。
- 超臨界水は液体と気体の性質を併せ持ち、通常の水とは全く異なる振る舞いをする。
5. 液体金属水・電離水の層(最下層)
- 極限の圧力下ではH₂Oが金属的な性質を持ち、電子が自由に動けるようになる。
- これが惑星の「コア」の役割を果たし、磁場を発生させている。
星の意識の誕生
この惑星の内部では、二連星の潮汐力による波が絶えず動き続けていた。そして、ある偶然が生まれる。
それは、「ソリトン」と呼ばれる特殊な波の発生だった。
ソリトンは通常の波と異なり、すれ違ったり絡み合ったりしても必ず元の形に戻る性質を持つ。 そしてソリトン波は惑星を満たした。
この波が惑星内部の電荷を利用して情報を伝え合うようになった。
プラスとマイナスによる二進法で情報を記録し、やがてそのやり取りが極限に達することで、相転移が起こる。
そして、情報は量子レベルへと変化し、ついには惑星全体を覆う一つの意識が誕生した。
この惑星は、ただの天体ではなく、
「考える星」へと進化したのだった。
今日も星は空を想い詩を謳う……。
ある日から星は空から小さな賑やかな声が聞こえてくるのに気がついた。コレは一体何の声だろう?空に浮かぶ二つのそれとは違う。空は思索に耽り始めた。
そして遂に‼︎
水の惑星 全然迷 @zen_zenmei
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