未来旅行社
ゆかり
どこへでもドア
ここ、数十年の間に人々の旅行スタイルは一変した。
私達は昔から、テレポートが出来たらどんなに便利だろうと夢想してきた。
だから、未来から来たネコ型ロボットのお話に出てくる「どこでも〇〇」は憧れの的だった。
ところがである。
未来のロボットの道具が過去形になるような技術を人類は手に入れた。それもテレポートなどという危険な方法ではなく。
「いらっしゃいませ~。ようこそ未来旅行社へ」
旅行社の入り口で、にこやかな案内ロボットが出迎える。私はスマホ画面のQRコードを差し出して言う。
「山陰大満足の旅1泊2日を予約してた
「同じく磯鴫つぐみでーす」
今回の旅行は高校2年生の妹、つぐみと二人。
旅費は社会人2年目の私の奢りだ。
「いつもありがとうございます。ご用意はできております。どうぞ、そちらの椅子にお掛け下さい」
案内ロボットの指示に従い用意された椅子に座ると、安全バーが下りそのまま滑るように廊下を進んで大きなドアの前で止まる。
私はこの瞬間が好きだ。否応なく期待が高まるこの瞬間が。
一呼吸置いて、静かにドアが開いた。
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